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PRで売上を伸ばせるのか?に挑戦するボンカレーのマーケティング

公開日:2018年3月9日   カテゴリ:


時代の変化に伴い、マーケティングコミュニケーションの手法は移り変わっていきます。かつて成功していたマーケティングが、人々の消費行動が変わると通用しなくなるのは当然、ともいえます。

昭和の時代から愛され続け、今年発売50年目を迎えた、「ボンカレー」のマーケティングを例に挙げながら、この半世紀のブランドと生活者のコミュニケーションの変遷を見ていきましょう。
bilcom_2494.jpg 写真:ビルコム ボンカレー担当チーム

■担当者:長沢美香
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消費財メーカー系のクライアントを中心にPRコンサルティングを実施。
第1IMC局を統括し、各クライアントにおけるPRコミュニケーションの品質管理に従事。
直近の実績として、大塚食品ボンカレーのIMCプロジェクト統括、ECサイトサービスのIMCプロジェクト統括を務め、コンサルタントとして活躍。

テレビCMを打てば響く、そんな時代があった


大塚食品のボンカレーは1968年(昭和43年)2月12日、世界初の市販用レトルトカレーとして誕生しました。2018年の今年、発売50周年を迎えました。

その間、メディアのあり方や影響力のあるメディアの変化に伴い、マーケティングコミュニケーションの方法も刻々と変わってきました。

1950年〜1960年代には、三種の神器のひとつであったテレビが一般家庭に普及し、流行語を生み出したり、社会的なメッセージを伝えたりするテレビCMも増加。

ボンカレーが年間販売数量1億食を突破したのは1973年。「ペヤングソース焼きそば」や「かっぱえびせん」など、マス・コミュニケーションでヒット商品が数々生まれた時代です。ボンカレーも笑福亭仁鶴さんや王貞治さんなどの、時の人気者を起用したテレビCMの効果が大きな売り上げにつながりました。

それからインターネットが広がりを見せるまで、テレビCMを打てば商品やサービスが売れる時代が続いていきます。

スマホ時代だからこそ必要な、PR的コミュニケーション


ときは2013年。発売45周年を迎えたボンカレーが、「レトルトカレーといえば湯煎するもの」といった常識を打ち破る「電子レンジ対応」したボンカレーを売り出した年です。

電子レンジ対応は、これまでのレトルトの常識を覆す画期的な発明です。しかし、テレビCMでそれを"新機能"として訴求したものの、それほどの手応えを感じられなかったといいます。

それを裏付けるデータがあります。生活者への調査では、ボンカレーというブランドを認知している人は91%、商品を認知している人は56%、電子レンジ対応という機能を認知している人はわずか16%との結果が得られ、テレビCMを中心とした機能訴求が効いていなかったことが明らかになったのでした。

「とくに若い世代へテレビCMが効かなくなった理由のひとつに、テレビに毎日接触している人が少ないこと、代わりにネットへの接触が増えていることが挙げられます」(長沢、以下同)

時代が変わればコミュニケーションの方法も変わります。スマホ普及率が70%を超えた(総務省「情報通信機器の普及状況」より)今、企業の広告出稿に対する考え方も少しずつ変わっています。電通から先日2017年版が発表された「日本の広告費」を参照すると、マス4媒体への出稿量は3年連続で減少しています。

ネットやスマホに慣れた生活者は、広告を避け、広告に見えるものすら、すすんで見ようとはしなくなりました。ひとり1台〜の所有が基本で、自分が好きな時間に、好きなコンテンツを閲覧できるスマホでは、ある意味で自己本位に、見たいものを見たい分だけ見られるからです。

「テレビCMを代表とする広告に代わる、次なるコミュニケーションは、"PRファースト"ともいえる『PR的コミュニケーション』だと私たちは考えてきました。それは潜在顧客のニーズを掘り起こすことにもつながります」

PR的コミュニケーションとは、PRの考え方に基づき、商品やサービス価値を的確に伝えられるファクト(事実)を元にコンテンツを作り、社会的な課題や生活者の話題と結びつけて訴求することを指します。発信者は広告主ではなく、メディアなどの第三者です。

働くお母さんを応援――ストーリーマーケティング成功事例


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テレビCMで思うような効果が得られなかったボンカレーが行ったのが、ファクトをベースにしたストーリーマーケティングでした。「安心・安全な国産野菜を具材に使用している」「保存料・合成着色料・化学調味料不使用」「保存料を使わずに長期保存できるのがレトルトパックの特徴」といった、知られざる事実を元に、忙しく働くお母さんを応援するプロジェクトを立ち上げ、それをコンテンツ化したのです。

「Smile Table Day」と名付けられたプロジェクトのテーマは、「ときには夕食の準備を手抜きして、子どもとのコミュニケーションタイムを作ろう」。

プロジェクト参加家庭にカメラを設置し、普段の日の夕食と、ボンカレーを取り入れて準備の負担を軽減した日の夕食の様子を記録し、複数の指標で比較。その模様を動画コンテンツとして配信しました。

ボンカレーを「毎日の食事準備をラクにし、親子コミュニケーションを促進してくれるもの」と位置づけ、レトルト食品=保存料を多く使っている、といった誤解を解くとともに安全で美味しいものであると丁寧に伝えていけば、働くお母さんが「ボンカレーを買う理由」が生まれます。

共働き世帯が一般的になり、働くお母さんが増加している現代でも、「疲れて帰宅しても食事を手作りしないといけない」と思い込み、自分を追い詰めてしまう女性はいます。

彼女たちに「無理しなくてもいい」「がんばりすぎなくてもいい」と思ってもらい、固定概念や心の負担を取り除けたことが、プロジェクト成功の要因になりました。

PR的コミュニケーションとデータの融合で成果を上げる


生活者の共感を生むストーリーづくりで順調に売り上げを伸ばしていたボンカレーですが、2016年は市場の向かい風に苦しみました。具材の野菜をすべて国産化するなど中身の改良は行っていたものの、結局は価格で選ばれてしまうのか。そんなボンカレーの売り上げを再び回復させたのは、ファクトの力と、そしてデータの活用でした。

2016年末、地上波の人気番組『マツコの知らない世界』、『ジョブチューン』の2つに露出し、SNS上でも話題を集めたボンカレー。前者では「電子レンジ対応」という機能に、後者では「安心・安全な国産野菜を使用している」という品質にフォーカスして放送されました。

露出と売上データの相関関係を分析したところ、後者のほうが生活者からの反響が良く、売上増に結び付いたと振り返ります。
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そのデータを元に、2017年は徹底的に「品質」にフォーカスしたコミュニケーションを展開。話題づくりに成功するたびに売上のデータ照らし合わせ、「売れる」メッセージのチューニングを行ってきました。その結果、再び好調な売上を取り戻すことができました。

まとめ


かつて影響力のあった広告に代わるコミュニケーションは、ファクトをベースにした生活者に寄り添うコンテンツを訴求する、PR的コミュニケーションの手法に変わってきています。

客観性の高いファクトを、メディアなどの第三者がそれぞれの仕方で"料理"し、コンテンツとして届けることで、生活者にとって「信頼できる情報」として、受け止められるというわけです。

PR的コミュニケーションを実践する企業やブランドが増え、生活者や社会との間に、より良い関係が築かれることを願います。

取材・文/池田園子
Twitter:@sonoko0511
DRESS編集長、フリー編集者/ライター。著書に『はたらく人の結婚しない生き方』。編集協力した書籍に『すべての女は、自由である。』(経沢香保子)、『さよならインターネット』(家入一真)など。
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