PR BLOG
PRブログ
- 2013年07月31日
- PRノウハウ
【注目企業のPR術を学ぶ】4,000人の署名を無視した企業から学ぶソーシャルメディア時代のリスク管理とは? インタビューChange.org, Inc日本ディレクターハリス鈴木絵美さん―(後編)
<前回のエントリー>
「世界最大の署名プラットフォームchange.org!日本上陸時のPR戦略を聞く。
インタビュー:Change.org, Inc日本ディレクターハリス鈴木絵美さん―(前編)
ソーシャル時代に求められる企業の対応とは!?
最近は企業の社会貢献意識が高まり、CSRの活動など積極的な企業が増えてきていると思いますが、企業がキャンペーンを立て問題を発信していくことは可能なのでしょうか?
現状でも企業の発信は可能です。しかし、ほとんどありません。CSRの一環として署名を届けるなどの方法があると思いますが、企業からの発信は本当に筋が通っていないと矛盾がソーシャルメディアを通してでてきます。表面的に筋を通していけばいい時代はもう終わりました。
私たちはプラットフォームとしてチャンネルを作り提供しているだけで、それに賛同し使うのはユーザー。ユーザーはとても頭が良く実際にこのキャンペーンは成功するのか、ストーリーに共感できるのかを判断しています。本当に会社としてあなたはいいことをしているのか、と問われたときに、消費者がついてきてくれるのか、ソーシャルメディアで嘘がつけなくなった今、企業にとって社会との関わり方は大きな課題になってくるのではないでしょうか。
企業の活動に対し消費者から反対の声が挙がったとき、企業はどのように対応するべきでしょうか?
企業の対応として一番悪いことは、署名という貴重な消費者の声を無視することです。消費者の声として捉え向き合うことで中長期的に大きなリスク管理になります。最近、ある企業に署名を届けに行ったのですが、担当者は4,000票の署名を受け取ってくれませんでした。カスタマーサポートをするお客様窓口もないし、店舗でのお客様の声の募集やソーシャルメディアを全くやっていなかったのです。発信者の声を届けることができなかったのです。受け取らない理由としては、前例がなくて対応ポリシーがないことと、一度受け取ったら全てのクレームを受け取らなければいけないということが理由でした。
企業のそういった対応を目の当たりにし、発信者はギブアップすることはなく、さらに勢いを増して主張をするようになります。拒否することで今後さらに署名を集め大きな問題にする可能性を作り上げてしまったのです。全く大事だと捉えられていないことが非常に残念でした。 4,000 人の声を拒否したという実感が企業の方にはなかったのでしょう。企業広報としてそういう対応はこのソーシャル時代にありえないのではないでしょうか。その日はメディアも同行していたのに、もっと配慮が必要だと思いました。
企業を対象としたキャンペーンの例
株式会社しまむら 宛て
毛皮の販売、毛皮がついた商品の販売をやめて欲しい。(賛同者数:4,646名)
http://goo.gl/yfl5K
株式会社コーセー 宛て
動物実験をしないでください!(賛同者数:5,683名)
http://goo.gl/TzBZF
全国自治体 宛て
赤ちゃんを守る緊急署名!風疹予防接種の完全無料化を (賛同者数:2,893名)
http://goo.gl/cXSrS
誰でも変化を生み出すことのできる世界を!
最後に、今後のマーケティング戦略を教えてください!
change.orgとしてはchangeのブランドを売り込むのではなく、changeを使って成功していく人を売り込んでいくことが大切だと考えています。changeはあくまでツールであって、このツールを使って息を吹き込むのは発信者や賛同者だと思うので。
今後のメディアの戦略は発信者をもっと取材し、そのストーリーを伝えていきたいです。今月も成功者が複数いたので、メディアに紹介して取り上げてもらう取り組みをしています。成功事例を発表して、ロールモデルを多く作っていき、ユーザーにchangeを自分事化して欲しいです。ロールモデルを作り、あんな普通の人でも世界を変えたのなら、私にもできるかもという実感を得て欲しいと思います。
今まで、日本の社会変化はエリートが先導してきていたと思います。しかし、changeでは世界中で普通の人でも変化を作り出すことができることを証明しています。欧米では、誰でも署名をすることは普通のことになっています。何かを変えるにはweb署名は当たり前だよね、という価値観が通っています。日本でもこのソーシャルメディアの時代に普通の人にももっとスポットを当て、誰にでもできるんだよということを伝えたい。もっとボトムアップな仕組みをchangeを通して作り上げたいです。
(書き手 味方勇人)
【注目企業のPR術を学ぶ】本企画は、若手起業家によるスタートアップ企業が注目される中、スタートアップ企業やベンチャー企業がどのようなマーケティング活動をしているのかに焦点を当てます。一般的にリソースが少ないと言われる企業が多い中で、活かせるヒントを得ることを狙いとしています。