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- 2025年04月18日
- PRノウハウ
今更聞けないPRと広告の違いとは?! 広報担当者が知るべきPRの真価と未来
目まぐるしく変化する社会情勢やメディア環境の中で、企業のメッセージを効果的に伝え、ステークホルダーとの良好な関係を築くことは、ますます重要になっています。広報・PR活動の根幹をなす戦略を考える上で、基本に立ち返ることは非常に大切です。
今回は、「今更聞けない」と感じるかもしれない「PR」と「広告」の違いについて改めて掘り下げます。この二つのコミュニケーション手法の違いを正確に理解することは、効果的な広報戦略を立案し、その効果測定を行う上で不可欠です。そして、なぜ今、PRの価値が再認識され需要が高まっているのか、その理由を探っていきましょう。
PRと広告、似て非なるコミュニケーション手法
「PRも広告も、企業が情報を発信するという点では同じでは?」そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その目的や手法、そして情報の受け止められ方には大きな違いがあります。
PRとは?
PRは、パブリック・リレーションズの略で、直訳すると「公衆との関係」です。企業や組織が、社会やステークホルダー(顧客、株主、従業員、地域社会、メディアなど)と良好な関係を築き、維持していくためのコミュニケーション活動全般を指します。
目的:組織とステークホルダーとの間に、相互理解と信頼に基づいた良好な関係を構築・維持すること。企業やブランドに対する好意的な評判(レピュテーション)を形成すること。
手法:メディアリレーションズ(プレスリリース配信、記者会見、取材対応など)、イベントの企画・運営、SNS運用、オウンドメディア運営、危機管理広報など多岐にわたります。
情報伝達:主に「第三者」を通じて情報が発信されます。メディアが客観的な視点で情報を取捨選択し、記事やニュースとして報道します。
費用:基本的にメディアの掲載枠を買い取るわけではないため、直接的な掲載費用は発生しません。
信頼性:第三者であるメディアが報じるため、情報の客観性・信頼性が高いと受け止められやすい傾向があります。
広告とは?
広告は、企業が費用を支払って指定したメッセージを特定のターゲットに届けるためのマーケティングコミュニケーション手法です。
目的:商品やサービスの販売促進、ブランド認知度の向上、特定のメッセージの訴求など、明確なマーケティング目標を達成すること。
手法:テレビCM、新聞・雑誌広告、ラジオCM、Web広告(リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告など)、交通広告、屋外広告など。
情報伝達:企業自身が発信主体となり、コントロールされたメッセージを直接ターゲットに届けます。
費用:メディアの広告枠を買い取るため、費用が発生します。
信頼性:企業自身が発信している情報であると認識されるため、PRに比べると客観性や信頼性の面では受け止められ方が異なる場合があります。
PRの真価「第三者発信」の圧倒的な力
PRと広告の最も大きな違いであり、PRの最大の価値と言えるのが「第三者発信」の力です。なぜ第三者からの情報発信が重要なのでしょうか。
現代社会は情報に溢れています。生活者は日々、膨大な量の情報に接しており、その多くが広告であることも認識しています。そのような状況下で、企業が一方的に発信するメッセージは、時に「売り込み」として警戒されたり、読み飛ばされたりする可能性があります。
一方、友人や専門家、あるいは客観的な立場にあるメディアからの情報は、「信頼できる情報源」として受け入れられやすい傾向があります。新聞記事やテレビニュース、ウェブメディアの記事などで自社の商品や取り組みが紹介された場合、それは単なる企業からの宣伝ではなく、「社会的に価値があると認められた情報」として認識され、生活者の態度変容や行動喚起につながる可能性が高まります。
この「第三者のお墨付き」とも言える効果こそ、広告では得難いPRの大きなアドバンテージです。メディアとの良好な関係(メディアリレーションズ)を築き、社会性や新規性のある情報を提供することで、第三者であるメディアに報道してもらうことは、企業の信頼性やブランドイメージを大きく向上させる可能性を秘めています。
広告では得られないPRのメリットとは?
第三者発信の力以外にも、PRには広告にはない独自のメリットがあります。
①高い費用対効果の可能性
広告のように莫大な掲載費用をかけずとも、大きなインパクトを生み出す可能性があります。一つのプレスリリースが複数のメディアに取り上げられ、さらにSNSなどで拡散されれば、広告費に換算すると数千万円、数億円規模の効果を生むことも珍しくありません。
②潜在層へのアプローチ
広告は特定のターゲットに届けることを得意としますが、PRは予期せぬメディアに取り上げられることで、これまでアプローチできていなかった潜在層に情報を届けるきっかけになることがあります。
③ストーリーを伝える共感醸成
広告は限られた時間・限られたスペースでインパクトのある情報発信を行い、社名やブランド名・商品名などの認知に向きますが、価値の理解や差別化された特徴の伝達などは難しいことがあります。一方PRでは、単なる商品説明ではなく、開発背景にあるストーリーや企業の想い、社会課題への取り組みなどを伝えることで、生活者の共感を得やすくなります。共感は、長期的なファン形成につながります。
PR活動における効果測定の重要性
かつてPRの効果測定は、「メディアにどれだけ掲載されたか」「それを広告費に換算するといくらか」といった露出量で語られることが少なくありませんでした。しかし、PR活動がもたらす真の価値は、それだけでは測りきれません。現代のPR効果測定では、より多角的で深い分析が求められています。
具体的には、まず掲載された記事の「質」を詳細に分析することが重要です。単に掲載されたという事実だけでなく、その記事が企業や商品に対してポジティブな論調で書かれているか、あるいはネガティブなニュアンスを含んでいないか。そして、本当に伝えたかった重要なメッセージが、記事の中にしっかりと反映されているかを確認する必要があります。
次に、PR活動が実際の行動にどう繋がったかを見るために、記事を読んだ生活者の「行動変容」が重要です。具体的には、メディア掲載後や情報発信後、自社のサイトアクセス数が具体的にどれくらい増加したのか、資料請求や問い合わせ件数に変化があったのかを追跡します。
さらに、現代のコミュニケーションにおいて欠かせないSNSでの反響も重要な指標です。発信した情報や関連する記事が、SNS上でどの程度シェアされ、拡散しているのか。そして、それに対してどのような意見やコメント(ポジティブなもの、ネガティブなもの、疑問など)が集まっているのかを把握することで、世の中のリアルな反応を知ることができます。
より長期的な視点では、ブランド認知度やイメージの変化も測定すべき項目です。一連のPR活動を通じて、ターゲットとする生活者層のブランドに対する認知度が向上したか、そしてブランドイメージ(信頼できる、革新的であるなど)に好ましい変化が見られたかを、アンケート調査などを通じて定期的に確認します。
最終的には、これらの活動が経営指標へどのように貢献したかという視点も欠かせません。すぐには結果が見えにくいかもしれませんが、長期的に見て売上向上に繋がっているか、企業の評判や株価に良い影響を与えているか、あるいは優秀な人材確保(採用活動)に貢献しているかなど、ビジネスゴールとの関連性を評価していくことが求められます。
このように、掲載の質、ウェブサイトへの影響、SNSでの反響、ブランド認知・イメージの変化、そして経営指標への貢献といった複数の指標を複合的に分析し、組み合わせることで、初めてPR活動の成果を立体的に可視化することができます。これにより、実施した施策が有効だったのか、どこに課題があったのかを客観的に評価し、データに基づいて次の戦略をより効果的なものへと改善していくことが可能になります。
なぜ今、PRの需要が高まっているのか?
情報の多様化、SNSの普及などを背景に、広告だけでは生活者の心を動かすことが難しくなってきています。こうした時代背景の中で、PRの重要性はますます高まっています。
企業に信頼が求められる時代の中、客観的で信頼性の高い「第三者発信」へのニーズが高まっています。また、SNSを通じて、人々は企業やブランドの姿勢やストーリーに共感し、情報を自ら拡散するようになりました。PRはこうした共感を生み出すストーリーの伝達を得意とします。
企業を取り巻くステークホルダーも多様化し、それぞれとの良好な関係を築くことが経営の安定に不可欠です。PRは、様々なステークホルダーとの双方向コミュニケーションを円滑に進める役割を担います。
広告が企業のメッセージを「届ける」ことに長けているとすれば、PRは企業の独自価値や姿勢を伝え、社会や生活者との「関係を築く」ことに長けていると言えます。瞬間風速的な販売促進だけでなく、中長期的な売上につながる信頼獲得と企業価値向上を目指す上で、PRの戦略的な活用は不可欠なのです。
広告には広告の、PRにはPRの役割と強みがあります。両者の違いを正しく理解し、それぞれの特性を最大限に活かしたコミュニケーション戦略を設計することが、企業の持続的な成長には欠かせません。情報が溢れ、信頼性が問われる現代において、客観的な視点からの情報発信を促し、社会との良好な関係を築くPRの価値は、今後ますます高まっていくと考えられます。本記事の内容を参考に、広報・PR戦略を見つめ直し、その可能性を最大限に引き出す一助としていただければ幸いです。
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書き手:コーポレートコミュニケーション局 川島弓奈