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  • 2024年04月16日
  • セミナーレポート

【セミナーレポート】カルビー柳井氏に聞く、30年のロングセラー「じゃがりこ」「フルグラ」コミュニケーションの舞台裏 - ブランドマネジャーがしてはいけないたった1つの事とは

2024年2月28日、カルビー株式会社 マーケティング本部 オーツ麦部 ブランドディレクター 柳井 秀政 氏をゲストに迎え、『カルビー柳井氏に聞く、30年のロングセラー「じゃがりこ」「フルグラ」コミュニケーションの舞台裏 - ブランドマネジャーがしてはいけないたった1つの事とは』と題したセミナーを開催いたしました。今回は、当日のセミナーの模様をお届けします。

■登壇者
カルビー株式会社 マーケティング本部 オーツ麦部 ブランドディレクター 柳井 秀政 氏
ビルコム株式会社 メディア局 局長 兼 エグゼクティブプランナー 長沢 美香

長沢:本日は、カルビー株式会社の柳井さんをゲストに迎え、柳井さんがブランドマネジャーを務められてきた「じゃがりこ」「フルグラ」のコミュニケーションの舞台裏と、柳井さんのこれまでのご経験から、現在ブランドマネジャーをされている方、また、今後ブランドマネジャーをめざしている方へのアドバイスをうかがっていきたいと思います。それでは早速、柳井さんの自己紹介をお願いします。

柳井:皆さんこんにちは。カルビー株式会社の柳井です。1994年にカルビーに入社し、工場、「じゃがりこ」の開発・企画を経て、「ポテりこ」の企画・開発・生産を担当しました。その後、一旦カルビーを退社し、他社での武者修行を経て、2020年9月にカルビーに戻りました。戻ってからは、新規事業本部、miinoチームブランドマネジャーを経て、2023年からオーツ麦部 ブランドディレクターを務めています。

長沢:ありがとうございます。今日は柳井さんのこれまでのご経歴の中から、色々とお話しいただきます。

マーケターになったきっかけ

長沢:早速本題に入りたいと思うのですが、まず始めに、柳井さんがマーケターになったきっかけを教えていただけますか。

柳井:「じゃがりこ」の開発をしていた27歳の時にあった、工場でのある出来事が大きいと思います。工場でじゃがいもの芽を取る作業をしていた従業員の女性から「柳井君、この商品は売れるのかい?」と質問されたんですね。私は「売れると思いますよ」と軽く答えてしまったのですが、その女性から「そんな軽い気持ちじゃいけないよ。おばちゃんはこの仕事をして娘をふたり大学に通わせているんだ。あなたのこの商品が売れなかったら、生活ができなくなってしまうんだよ。」ということを言われ、それをきっかけに工場で働く方をはじめ、商品開発は関係する全ての方の生活に影響があるということを再認識し、売れる商品を作れる人になりたいと思ったのが最初のきっかけです。

カルビーの商品に共通するコンセプト

長沢:続いて、カルビーの商品に共通するコンセプトについて、教えていただけますか。

柳井:創業の精神にもある「未利用な食料資源の活用」と「自然のおいしさをまるごと使用する」が共通するコンセプトになるかと思います。

じゃがりこのコンセプト開発

長沢:「じゃがりこ」は発売当時も注目を集めたと思うのですが、開発にあたってどのようにコンセプトを作っていったのでしょうか。

柳井:カルビーは未利用な食料資源の活用という企業理念もあり、元々シーズ型の商品が多かったのですが、1992年に中期5ヶ年計画を立てた際、ニーズ型のスナック商品を作っていこうという方針が出されました。そして、その時に“女子高校生が食べるスナック”を想定して開発されたのが「じゃがりこ」です。最初は長方形の箱に入ったポテトスティックの商品としてテスト販売を行い、改良を重ねて今の形状になりました。ちょうどその当時ドライブが流行っていて、車のカップホルダーにぴったり入るといった点や、これまでのスナック菓子にない心地よい硬さも好評を得た要因かと思います。

じゃがりこのファンコミュニケーションの歴史

長沢:「じゃがりこ」が発売されて約30年が経ちますが、ずっと売上は拡大していったのでしょうか。

柳井:約30年販売している商品なので一旦下がった時期もありますが、商品をブラッシュアップすることで、いまでも成長が続いている商品です。

長沢:売上が下がった時期があると伺いましたが、どのように売上をV字回復させていったのでしょうか。

柳井:新商品を投入したことで売上が回復したというのもありますが、「じゃがりこ」のファンとのコミュニケーションを大切にしてきたことも売上回復の要因かと思います。最初はお客様からいただいたファンレターに担当者が手書きで返信することから始まり、その後、ファンの方々の組織として「じゃがりこ探偵団」が結成されます。2007年からはファンサイトの「じゃがり校」を開校し、ホームページ上でお客様とのインタラクティブなやり取りを活発化させていきました。

長沢:V字回復にはファンを大切にする取組があったのですね。「じゃがり校」について、もう少し教えていただけますか。

柳井:「じゃがり校」は学校をコンセプトにして作ったホームページです。「じゃがり校」に入学するためには「じゃがりこ」に対する熱い思いを小論文形式で提出いただき、審査に通った方のみが入校できます。そして、学校ですので、3年間しか在籍できないといった仕組みにしました。また、英語や理科といった科目に合わせたネタを社員自らが企画・作成し、サイトの更新も社員が行うなど、継続的に運営できる体制作りも行いました。

長沢:2007年に実施されていたということですが、まさにインタラクティブコミュニケーションの先駆け的な取り組みですね。その中でも特徴的な取り組みがあれば教えていただけますか。

柳井:ホームページ上で新商品の開発を行えるようにしたことはひとつの特徴かと思います。まずホームページで候補に挙がったフレーバーの人気投票を行い、上位のものについては、実際に試作品を作って、お客様に試食していただき感想をうかがうといったことも行いました。そうすることで、ファンの方の声を直接商品に活かした商品開発が可能になりました。また、「じゃがり校」の生徒会役員を務めてくださっているお客様をイベントに招待し、直接ディスカッションを行う場を設けるなど、オンラインとオフラインの融合ということにも力を入れました 

フルグラのコンセプト開発

長沢:続いて、今柳井さんがブランドディレクターを担当されていますが、「フルグラ」のコンセプトはどのように開発されたのでしょうか。

柳井:カルビーでは最初に一般的なグラノーラを発売したのですが、その後、オーツ麦に着目するとともにフルーツなどを加え、日本の女性の健康を応援したいという目的のもと、朝食用フルーツグラノーラとして誕生したのが「フルグラ」です。オーツ麦は当時日本では未利用食材でしたので、このグラノーラをきっかけに日本の食卓に定着させられないかとの思いもあり採用しました。フルーツを加えたことで彩りもよく、また、ザクザクとした食感もご好評をいただきまして、現在11年連続でシリアルブランド売上No.1※となっています。(※インテージSRI,SRI+ シリアル市場 2013年4月~2024年3月 ブランド別 累計販売金額)

フルグラの朝食市場参入

長沢:この「フルグラ」も30年以上の商品ですが、継続して売上拡大していたのでしょうか。

柳井:発売当初は売上が伸びない時期が続き、大変苦労しました。辛抱強く営業活動を行い、やっと2000年代始めから売上が拡大し始めました。大きく数字が動いたのは2012年頃からで、それまでのシリアル市場から朝食市場へドメインの見直しを行ったことが大きく寄与しています。ドメインの見直しに伴い、シリアル売り場だけでなく朝食接点としてのタッチポイントを増やす活動を広げていったことが、大きな転換点となったと感じています。

フルグラがブームではなく習慣化した理由

長沢:仕事柄、私もお客様からブームで終わらせないためにはどうしたらよいかというご相談をよくいただきます。「フルグラ」は単にブームではなく、朝食として定着していった印象を持っておりまして、それがうまくいった理由はどのあたりにあるとお考えですか。

柳井:一つに朝食としての「フルグラ」の食べ方をさまざまな形で提案をしていったということがあります。朝食本を発刊したり、朝食屋台や朝食茶屋を展開したりと、「フルグラを朝食で食べましょう」という提案をずっとやってきました。また、小学校へ出向いて”朝食にはこういう良さがあるから、こうやって食べてみよう”という食育的な内容を一緒に勉強する“朝ハロ教室”という出張授業も継続して行っています。このような活動を続けていった結果、グラノーラ市場の伸長に伴ってシリアル市場も伸長していくという好循環を作ることができました。

ブランドマネジャーを歴任されてきた柳井さんからのアドバイス

長沢:長年ブランドマネジャーを経験されている柳井さんから、皆さまへのアドバイスをお願いできますでしょうか。

柳井:マーケターとして私が実践してきたこととしては、1つ目にファンの方々と密接な関係を構築するようにしてきました。2つ目はCMだけではないタッチポイントを拡大していったこと。そして、3つ目として、メディアごとに得意・不得意があるのでそのメディアの特性に合わせて訴求メッセージを変えていったことが挙げられると思います。

具体的には、テレビCMは時間的な制約がありますので複数の事を訴求するのではなく、「フルグラ」の「おいしさ」に絞って訴求をしました。一方で説明コストの高い健康面については、今後さまざまなメディアを使ってPRを展開していく予定です。

長沢:ありがとうございます。今回のセミナーのテーマ「ブランドマネジャーがしてはいけないたった1つの事」についてもお聞かせください。

柳井:それは、ブランドのコンセプトやレギュレーションを最初に決めて、それをしっかりと守っていくことです。商品の売上が落ちてくると、経営者や上の人はパッケージであったり、味であったりを“リニューアル”をするよう求めてくるかと思います。そういった時にブランドの価値をしっかりと守っていくのがブランドマネジャーの仕事であると思っています。

マーケターとして、今注目しているコミュニケーション手法

長沢:近年さまざまなコミュニケーション手法が生まれていますが、柳井さんがマーケターして今注目しているコミュニケーション手法について教えてください。

柳井商品だけでは語れない部分を補ってもらい、お客様の態度変容を促すという点でPRに注目しています。特に「フルグラ」の場合は、ファクトやエビデンスを作って専門家の方に語っていただくというのが重要だと考えています。例えば「フルグラ」の糖質オフ商品については、医師の方にご協力をいただき、糖質オフに関する情報を継続的に発信することで商品の価値を高めるといった事を行っています。

PRは事業に貢献するのか

長沢:最後の質問ですが、ずばり、PRは事業に貢献するでしょうか。

柳井:「フルグラ」の売上が前年比で大きく伸長した時期があったのですが、それは「フルグラ」とヨーグルトの相性の良さをPRで訴求していった結果です。多くのメディア露出があっただけでなく、その情報が生活者まで波及していったいい事例ではないかと考えています。そういった意味で、PRの手法は事業貢献にとって重要な手法だと私は考えています。

長沢:柳井さん、ありがとうございました。

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