わさび製品を中心として、香辛料・調味料を展開する万城食品ホールディングス様は、2024年4月1日、キユーピー様と業務提携し、新会社、「万城シーズニングパートナーズ（以下BSP）」を設立しました。

ビルコムでは、今回の新会社設立に関するPRをはじめ、万城食品ホールディングス様全体の広報・PR活動を支援しています。

「新会社で魚食文化の醸成・新たな需要創出をめざす」と語る、BSP代表取締役 常務執行役員の三代康雄様に、新会社設立の背景やPRに期待する役割についてお聞きしました。

聞き手は、担当PRコンサルタントの山本里奈です。

語り手：株式会社万城シーズニングパートナーズ　代表取締役 常務執行役員 三代康雄 様

万城食品ホールディングス取締役・万城食品取締役を兼任。

電子部品メーカー、空調機器メーカー等を経て2016年に万城食品に入社し、マーケティング部長、東京本部長 兼 経営企画室長を歴任。2019年から同社取締役、2024年4月より現職。

聞き手：ビルコム株式会社 山本 里奈

テレビメディアを強みとするメディアプロモーターを経てPRコンサルタントに。メディア視点を踏まえた企画力を武器に、食品・化粧品業界等のPRを支援。

目次

・万城食品が新会社BSPを設立した理由

・新会社で実現したい“ゲームチェンジ”とは

・「ニッチ領域でトップを目指す」。戦略実現のためにPRが果たす役割

・鮮魚と野菜の食べ合わせで健康な食事を実現する“フードシナジー”とは

・「わさびの価値も拡張したい」。“ファクト”を創るわさび懇話会の取り組み

・統合型PRがポイント。ビルコムをパートナーとして選んだ背景と今後への期待

万城食品が新会社BSPを設立した理由

2024年4月に新会社であるBSPを設立されました。設立の背景について教えてください。

万城食品は、わさびをはじめ、さまざまな調味料や香辛料で鮮魚売場に商品を提供しており、「魚食」に特に強みを持っている会社です。食品業界の中ではニッチですが、自社の強みを活かして、この領域でトップを目指していきたいという思いがあります。

しっかりと小売店様のニーズに応えてNo.1を目指すためには、まず売り場で必要とされる商品ラインナップを網羅することが重要です。その観点から、キユーピーさんとはお互いの得意領域を活かし合うことができると考えて提携に至りました。キユーピーさんにも、売り場全体でのシェア拡大を図る中で鮮魚にチャレンジされたいという意向があり、お互いの狙いがマッチしました。 

新会社で実現したい“ゲームチェンジ”とは

新会社のBSPで、これからどういったことに挑戦したいとお考えですか。

残念ながら生鮮食品業界では魚食需要そのものが減少傾向にあるため、魚を食べる人を増やすことが非常に重要だと考えています。魚を食べよう、おいしいですよ、という呼びかけはさまざまな企業や省庁などがずっとチャレンジしてきていますが、それだけでは生活者は動かないため、生活者が真に実感する魚食の価値を伝える必要があります。

我々が目をつけたのは、鮮魚の健康価値です。鮮魚は日本人が昔から食べてきた食材で、栄養価が高い食品です。例えば、トクホのお茶は普通のお茶より少し高くても買いますよね。同様に、健康によいという価値に対し、少し単価が高くても週に何回かは肉ではなく魚を買ってもらう。こうした状態をつくり、鮮魚売り場を活性化していきたいのです。

鮮魚を食べることの価値を広げる取り組みには、マーケティング戦略においても重要な意味があります。同じ土俵で大きな会社と戦っても勝ち目がありませんので、BSPとしては、戦う土俵を変えていく、ゲームチェンジをする必要があるのです。今までの鮮魚売り場における調味料の価値は、「価格・食味・色味・加工オペレーションの簡便性」の3つでした。この軸だけで戦うのではなく、「健康」という新たな価値を付与することで、選ばれる理由を作りたいと考えています。

「ニッチ領域でトップをめざす」。戦略実現のためにPRが果たす役割

ゲームチェンジを実現するために、PRに期待することを教えてください。

魚を食べることの新しい価値を伝えていくためには、生活者に、魚食で健康になるという価値感や新習慣を浸透・定着させていく必要があります。PRがなければ我々が生活者に情報を届けられるチャネルは店頭だけですが、それだけでは情報の広がりがありません。

ゲームチェンジを仕掛けるのであれば、PRで「魚食には健康価値がある」ということを生活者に知ってもらい、フロントに立つ当社営業メンバーが小売店様と商談をする際の後方支援につなげていく必要があります。そこが一番大きなPRの役割ですね。BSPでは、今後さらに営業とPRの連動を強化していきたいとも考えています。

また、魚食の健康価値を浸透させるには、バラバラと情報発信するのではなく、生活者が気になる、振り向いてもらえる強いメッセージとして伝えていくことが必要だと思っています。ビルコムさんとディスカッションを重ねる中で発見した、“フードシナジー”という言葉もそのひとつです。

鮮魚と野菜の食べ合わせで健康な食事を実現する“フードシナジー”とは

市場創造記号”フードシナジー”について、詳しく教えてください。

”フードシナジー”とは、食品の食べ合わせで栄養効果が高まることを表す言葉です。魚食の価値を「健康」方向にどう広げていこうか、と、ビルコムさんと一緒に考える中で提案してもらいました。先日実施したBSPの設立発表時にも「魚と野菜 フードシナジーシンポジウム2024」を開催し、魚食を盛り上げるための一手として、レシピなどとともに打ち出しました。 

“フードシナジー”の考え方をベースにすることにより、キユーピーさんの強みである野菜と、万城の強みである魚、両者を組み合わせた売り場提案にもつながります。今、タイパや時短といった考え方が浸透し、ミールキットがかなり普及していますよね。例えば、野菜と魚がセットになっていて、そのまま加熱するだけでちゃんちゃん焼きができるような便利な商品もあります。これを発展させて、野菜と魚の食べ合わせで効率よく栄養素がとれ、健康になれる。そんなミールキットの提案なども考えています。 

わさびの価値も拡張したい。“ファクト”を創るわさび懇話会の取り組み

わさびのPRも数年にわたり当社でご支援してまいりましたが、わさびの価値を伝える取り組みについても教えてください。

我々はやはりわさびの会社なので、これまでビルコムさんと一緒に実施してきたわさびのPRにも引き続き取り組んでいきたいと考えています。

万城はわさびメーカーとして70年の歴史があり、実直に商品だけを作り続けてきました。ただ、それだけでは他社と差別化ができないため、わさびメーカーとして“ファクト”を作る必要があると考え、2年ほど前からビルコムさんと一緒に「わさび懇話会」という取り組みを始めました。

「わさび懇話会」は、研究者や生産者、料理に関わる方など、わさびに深く関わっている様々な方と当社スタッフが一緒になって、わさびについて学びを深めたり、わさびを取り巻く課題を議論したりする場です。例えばわさび農家の後継者問題などといった社会課題に、今後会社としてアプローチするきっかけになるかもしれません。

様々な視点でわさび自体の価値を広げる契機となるこの取り組みを、これからも続けていきたいと考えています。

統合型PRがポイント。ビルコムをパートナーとして選んだ背景と今後への期待

PRのパートナーとして、ビルコムを選んだ背景を教えてください

ビルコムさんのことは、Web検索で見つけました。他の食品メーカーさんで、プロモーションをTVCMからPRに切り替え、商品の価値を広げて伝えることで売上を伸ばした事例があることを知り、興味を持ったのが最初です。

PRのパートナーとしてビルコムさんと取り組んでいる一つの理由は、IMC（統合型マーケティング・コミュニケーション）が重要だと考えているからです。

IMCという言葉が世の中に出はじめた頃から、私はその重要性を感じています。情報があふれている中で、一つの企業に対して色々なイメージを伝えてしまうとなかなか生活者の頭には入らないですよね。例えば“フードシナジー”のように、一貫した強いメッセージを統合して出していく必要があるのです。ビルコムさんは過去にはインフルエンサーの声を自社のアプリ開発に活かす取り組みや動画の制作など、SNSで情報を広げていくような取り組みを一緒に行ってきた実績もあり、IMC実現に向けて幅広い支援をしてもらえるPR会社だと思っています。

BSP、そして万城全体で取り組むゲームチェンジのためにも、統合型のコミュニケーションを一緒に形にしていきたいと思います。

まとめ

以上、最後までお読みいただきありがとうございます。

本記事では、万城シーズニングパートナーズ 代表取締役 常務執行役員の三代様に、現在の取り組みやPRへの期待値、今後の展望などについてお伺いしました。

ビルコムは、事業貢献につながる統合型の広報・PRを、パートナーとして実現するPR会社です。お気軽にご相談ください。

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