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- 2026年10月27日
- PRトレンド 、PRノウハウ
「AIを使う」から「AIと働く」へ。2026年のPR潮流と広報AXの始め方
2026年、広報のAI活用は「試す」段階を終えました。日本広報学会の研究会調査では、広報部門の生成AI導入率は77.0%と前回の2倍以上に拡大しています。一方で「定着している」と答えた割合は18.3%にとどまります。
出典:日本広報学会「第2回 広報における生成AIの活用実態調査報告書」
本記事では、国内外の調査データから2026年のPRの潮流を5つに整理します。そのうえで、AIネイティブPRカンパニーへ移行したビルコム自身の実践をもとに、「導入」を「定着」に変える広報AX(AIトランスフォーメーション)の進め方を解説します。
トレンド① AIは「話題」から「前提」になった
「PR TIMES」が2026年1〜5月のプレスリリース約20万件を分析した結果では、急上昇キーワード1位は「AI」(11,920件、前年同期比1.64倍)でした。「AIエージェント」は2.77倍、「AX」は10.89倍と、「AIで何を変えるか」へ関心が移っています。
プレスリリースの急上昇キーワード(AI関連)
2026年1〜5月/前年同期比
出典:PR TIMES MAGAZINE「2026年下半期のトレンド予測」(2026年1〜5月のプレスリリース199,535件を分析)をもとにビルコム作成
日本広報学会の調査では、導入者の70.0%が「常に」「1日数回」生成AIを使っています。用途の上位はプレスリリース作成(46.3%)、タイトル案出しと企画の壁打ち(各43.8%)です。
トレンド② 課題は「導入」から「定着」へ
冒頭で紹介した日本広報学会の調査をもう少し詳しく見ると、広報部門の生成AI導入率77.0%の内訳は、「定着している」18.3%、「導入し、定着を模索している」58.7%です。導入した企業の大半は、まだ個人の使い方に頼る段階にあると考えられます。
定着を阻んでいるものは何でしょうか。広報のAI活用に感じる不安の上位は「正確性」(53.8%)と「機密性」(51.9%)で、いずれも半数を超えています。
広報のAI活用で感じる不安
複数回答/有効回答104件
出典:日本広報学会「第2回 広報における生成AIの活用実態調査報告書」(2025年10〜11月実施)をもとにビルコム作成
こうした不安を抱えたままでは、AIは一部の人だけが使うツールにとどまりがちです。ビルコムも同じ課題に向き合い、運用ルールと推進体制を整えてきました。その結果、2026年9月時点で、社内のAIエージェント(通称:AIバディ)利用者の96.4%が毎週活用しています(社内集計、従業員約100名)。どのように定着させたのかは、後半の実例で紹介します。
トレンド③ AI検索は「第三者の言葉」を参照する
生活者やビジネスパーソンが、検索の代わりにChatGPTやClaude、Geminiに質問する場面が増えつつあります。2026年5月にMuck Rackが公開したChatGPT・Claude・Geminiの回答に含まれる2,500万以上のリンクの分析では、引用の84%がアーンドメディア(報道や第三者の発信)でした。広告・有料記事は0.3%、報道記事は27%です。
出典:Muck Rack "What Is AI Reading?" 2026年5月版
つまり、AIが自社をどう説明するかは、広告よりも報道や第三者の評価に左右されます。メディアリレーションズや信頼できる一次情報の発信という、広報の本来業務の価値はむしろ上がっています。ただしこのデータは主に英語圏のAI回答が対象で、日本語での比率は公開されていません。
トレンド④ 少人数広報で「やること」は増え続ける
Meltwaterが世界のPR・広報担当者1,100名以上を対象に行い、2026年1月に公開した調査では、最大の課題は「リソース不足」(24%)でした。回答者の約半数が5名未満のチームで、予算は横ばいという声が過半数です。その一方で、約半数がSNS運用、36%がインフルエンサー施策まで担っています。
出典:Meltwater「2026年PRの最新状況レポート」
人も予算も増えないまま、報道対応・SNS・社内広報・効果測定と守備範囲だけが広がっています。個人が生成AIを使うだけでは、この構造は変わりません。業務そのものを「AIに任せる部分」と「人が集中する部分」に切り分ける必要があります。
広報業務のどこをAIエージェント化すべきか。設計から定着までを支援する広報AXコンサルティングはこちら。
トレンド⑤ 効果測定は「活動量」から「意味のある指標」へ
報道の効果測定には手間がかかります。ビルコムの試算では、広報担当者が成果の測定と報告に使う時間は年間約480時間です。これは海外調査(Muck Rack「State of PR Measurement 2023」)の「業務時間の4分の1」という割合に、月160時間の勤務を当てはめた推計値です。人手で集計しているうちは、報道が「何件出たか」をまとめるだけで精一杯になりがちです。Meltwaterの調査でも、成果測定は露出量などの活動指標が中心で、シェア・オブ・ボイスやセンチメントなどの戦略的指標は十分に活用されていないと指摘されています。
この状況はAIで変わりつつあります。「PR Analyzer®」は、2026年3月に「AI報道分析レポート」の提供を始めました。前月の報道データをAIが分析し、成果と課題をまとめた月次レポートを自動で作成します。レポートはWord形式でダウンロードでき、加筆・修正も可能です。
集計と一次分析をAIに任せれば、人は「競合と比べて自社はどう語られたか」「次に何を仕掛けるか」の判断に時間を使えます。効果測定は、広報AXで最初に手を付けやすい領域のひとつです。
広報AXの進め方
広報AXとは:「AIを使う」から「AIと働く」へ
広報AXとは、広報・PRの業務フローそのものをAI前提で再設計する取り組みです。個人がリリースの下書きに生成AIを使う段階とは違い、チームのノウハウをAIエージェントとして仕組み化し、誰が使っても同じ品質が出る状態をつくります。
ビルコムの実例
ビルコムは2026年7月、「AIネイティブPRカンパニー」への経営変革を始動しました。全社・全部門に専門領域ごとのAIエージェント36体を配属し、創業23年のPRノウハウと媒体・時流・分析の独自データを連携させています。業務は次の3区分で設計しています。
AIに任せる:定型業務
AIと人が協業する:AIが叩き台を作成し、人が判断・仕上げを行う
人が集中する:関係構築と意思決定
あわせて、定期評価・ナレッジの鮮度管理・セキュリティを担う専任チームを新設し、AI活用ポリシーも制定しました。トレンド②で見た「正確性」「機密性」への不安に、運用ルールと体制で答えるためです。さらに、各部署へのAIアンバサダーの設置や、AIによる成果物の表彰制度など、AI活用を促す人事制度も導入しています。
定着までの5ステップ
業務の棚卸し:業務を工程単位で書き出し、時間と属人度を可視化する
3区分への仕分け:「任せる/協業する/人が集中する」を決め、効果の大きい業務から着手する
ノウハウのエージェント化:蓄積された自社の判断基準やトンマナをAIに持たせ、属人化を解く
ルールとガバナンス:ファクトチェックの責任範囲、機密情報の扱い、公開前の承認フローを決める
定着と改善:利用状況と成果を定期的に評価し、AIエージェントを更新し続ける
2026年のPRは、AIが前提になり、AI検索で第三者の言葉が重みを増しています。差がつくのは「AIを導入したか」ではなく「定着させ、人が本来の広報に時間を使えているか」です。
本来の広報とは、人にしかできない仕事のことです。お客様や記者との信頼関係を築くこと、自社ならではの切り口を企画して取材につなげること。誰に何を伝えるべきかを判断すること。いずれも、関係性と責任が問われる領域です。AIに任せられる作業をAIに任せるほど、こうした仕事に使える時間が増えていきます。
広報のAI活用を「導入」で終わらせない
ビルコムの広報AXコンサルティングは、社内で運用するAIエージェントの型をもとに、導入設計から定着・運用まで伴走します。「何から始めればよいか分からない」「ツールは入れたが現場に根付かない」という段階からご相談いただけます。
よくある質問
Q1. 2026年のPRトレンドで最も大きな変化は何ですか?
A. AIが広報業務の前提になったことです。日本広報学会の研究会調査では広報部門の生成AI導入率は77.0%に達し、課題は「導入」から「定着」に移っています。
Q2. 広報のAI活用が定着しないのはなぜですか?
A. 活用場面が業務フローに組み込まれていないこと、推進人材がいないこと、正確性や機密性のルールが未整備であることが主な要因です。
Q3. 広報AXとは何ですか?
A. 広報・PRの業務フローをAI前提で再設計し、ノウハウをAIエージェントとして仕組み化する取り組みです。個人のAI利用ではなく、チームとして同じ品質を出せる状態を目指します。
Q4. AI検索の普及で広報の役割はどう変わりますか?
A. AIは報道や第三者の発信を多く参照します。Muck Rackの分析ではAIの引用の84%がアーンドメディアでした。メディアリレーションズや信頼できる情報発信の価値は高まっています。
ビルコムは「AIネイティブPRカンパニー」として、20年以上のPRノウハウと独自データを基盤に、企業の市場創造を支援しています。
- 診断技術:独自の指標「PRパワー」の考え方にもとづき、広報効果測定ツール「PR Analyzer」の報道データでブランドの力を可視化し、課題を客観的に把握します。
- 伝達技術:20年以上蓄積してきたPR戦略のノウハウと成功事例のパターンから、次に打つべき施策を導きます。
自社の広報・PRの課題を把握したい、ブランド力を高めたいけれど何から始めればよいかわからない、といった場合は、お気軽にご相談ください。
書き手:コーポレートブランディング部 川島弓奈



