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- 2025年09月10日
- PRノウハウ
広報とPRの違いとは?仕事内容から企業ブランディングへの貢献まで解説
1. はじめに:なぜ今、「広報」と「PR」の違いを理解することが重要なのか?
目まぐるしく変化する社会情勢やメディア環境の中、企業のメッセージを効果的に伝え、社会との良好な関係を築く「広報・PR活動」の重要性は増すばかりです。これらは企業ブランディングやマーケティング活動において中核をなす機能ですが、多くのビジネスシーンで「広報」と「PR」という言葉が混同されたり、同じ意味で使われたりすることがあります。
「広報とPRって、結局何が違うの?」
「私たちの部署は広報部だけど、やっていることはPRなのでは?」
こうした疑問を解消し、両者の違いと本質を正確に理解することは、効果的なコミュニケーション戦略を立案し、企業価値を最大化する上で不可欠です。
本記事では、「広報」と「PR」の意味や、具体的な仕事内容、そして混同されやすい「広告」との関係性までを徹底解説します。自社のコミュニケーション活動を客観的に見つめ直し、次の一手を考えるためのヒントとしてご活用ください。
2. 広報とPRの関係性:PRという大きな傘の中の「広報」
「広報」は「PR(パブリックリレーションズ)」という、広範な概念に含まれる活動の一つと捉えるのが分かりやすいでしょう。
PR(Public Relations)
直訳は「公衆との関係」。企業や組織が、顧客、株主、従業員、地域社会、メディア、インフルエンサーといった多様なステークホルダーと、相互に利益をもたらす良好な関係を築き、維持するためのコミュニケーション活動全般を指します。その目的は、社会からの理解と信頼を獲得し、良好な企業の評判を築くことにあります。
広報
文字通り「広く報じる」活動を指します。企業情報をさまざまなメディアを通じて社会に発信する「情報発信」の側面が強い言葉として定着していますが、近年は事業に貢献するための一部門として、PR活動の中核をなす重要な機能の一つとなっています。
日本広報学会では、広報の定義を下記のように定めています。
「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。」
つまり広報の目的は、組織の「目的達成や課題解決に貢献すること」と捉えられます。
PRがステークホルダーとの「関係構築」という大きなゴールを目指す戦略的アプローチであるのに対し、広報は企業の目的や課題解決を実現するための具体的な戦術・アクションと考えることができます。IR(投資家向け広報)や社内広報なども、すべてはこのPRの傘下にある活動です。
3.マーケティングにおける広報・PRと「広告」の役割分担
広報・PRの役割をより明確に理解するために、同じくマーケティング活動の一環である「広告」との違いを比較してみましょう。両者は情報を発信する点では共通していますが、アプローチや波及は異なります。
4. PRの真価:「第三者発信」による信頼性の獲得
広報・PRと広告の最も大きな違いは、この「第三者発信」にあります。情報が氾濫する現代において、生活者は企業からの一方的な売り込み(広告)に敏感です。
一方で、信頼できるメディアや人が「社会的に価値のあるニュース」として報じた情報は、客観的な事実として受け入れられやすく、生活者の深い理解や共感、そして行動変容を促す力を持っています。この「第三者のお墨付き」とも言える信頼性の獲得こそが、企業ブランディングに繋がり、広告では得難いPRの強みとなります。
5. 広報・PR担当者の具体的な仕事内容
では、広報・PR担当者は具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。その業務は多様なステークホルダーとの関係構築を目指し、多岐にわたります。
メディアリレーションズ
テレビ、新聞、雑誌、Webメディアなどの記者と良好な関係を築き、自社の情報をニュースとして取り上げてもらうための活動です。
プレスリリースの作成・配信
新商品、新サービス、経営情報、調査結果など、企業の新しい動きをメディア向けに公式文書として発信します。
取材対応・記者会見の運営
メディアからの取材依頼に対応したり、重要な発表の際に記者会見を企画・運営したりします。
オウンドメディア・SNS運用
自社ブログや公式サイト、公式SNSアカウントを通じて、顧客やファンといったステークホルダーに直接情報を届け、コミュニケーションを図ります。
採用広報
企業のビジョンやカルチャー、働く社員の魅力を発信し、将来の候補者というステークホルダーとの関係を構築します。採用市場における企業のブランド価値を高める重要な役割です。
危機管理広報(クライシスコミュニケーション)
不祥事や事故、ネガティブな情報が出た際に、迅速かつ誠実な情報開示を行い、ダメージを最小限に抑え、信頼の回復に努めます。
社内広報
社員という重要なステークホルダーに対して経営方針やビジョンを共有し、組織の一体感を醸成、エンゲージメントを高めます。
6. なぜ今、広報・PRが企業ブランディングと経営に不可欠なのか?
かつて広報は「守り」のイメージがありましたが、現代では経営戦略と直結する「攻め」の機能、特に企業ブランディングの要としてその重要性が再認識されています。
信頼性が問われる時代:フェイクニュースや情報過多の社会において、客観的な第三者からの信頼性の高い情報発信(PR)へのニーズが高まっています。この信頼の積み重ねが、ブランドの基盤を強固にします。
SNSによる「共感」の連鎖:人々は単に良い商品だから買うのではなく、その背景にあるストーリーや企業の姿勢に「共感」してファンになり、自ら情報を拡散します。PRは広告主体のマーケティングだけでは作れない、ロイヤリティの高い顧客との関係を築き、強力なブランド資産を形成します。
ESG/SDGs経営の浸透:企業の社会的な責任や存在意義(パーパス)が問われる時代。環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組みを真摯に伝え、社会という広いステークホルダーとの合意形成を図るPRの役割は不可欠です。
瞬間的な販売促進を狙う広告に対し、広報・PRは企業の資産である「信頼」を積み重ね、中長期的な企業ブランディングを成功に導くための活動なのです。
7. まとめ:違いを理解し、統合的なマーケティング戦略を
この記事では、「広報」と「PR」の違い、そして「広告」との関係性について解説しました。
PRは、多様なステークホルダーとの良好な関係を築くための包括的なコミュニケーション戦略。
広報は、PRの一部であり、主にメディアを通じて情報を発信する戦術的な活動。
広告は、費用をかけて販売を促進するマーケティング手法。
この3つの違いを正しく理解し、それぞれの強みを活かして連携させる「統合型PR」の視点が、現代の企業経営には重要です。自社の目的は何か、伝えたい相手は誰か、最も効果的な手法は何か。本記事を参考に、ぜひ広報・PR戦略を企業ブランディングの中核として見つめ直し、その可能性を最大限に引き出しましょう。
ビルコムは、単なる情報発信に留まらず、データに基づいた戦略的なPR活動を通じて、企業の市場創造を支援しています。 その強みは、独自の診断技術と伝達技術にあります。
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書き手:コーポレート戦略局 川島弓奈