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  • 2025年02月26日
  • PRトレンド 、PRノウハウ

広報・PR効果測定の新常識。「行動変容の可視化」で本質的な効果測定を

ビルコムが開発・提供するクラウド型PR効果測定ツール「PR Analyzer」は、2025年2月に記事データとWebアクセスデータとの相関を可視化できる新機能をリリースしました。広報・PR活動の成果をより本質的に測定し、業界全体の効果測定のあり方を進化させたいという思いから開発しました。今回は、新機能の開発背景や広報・PRにおける「行動変容の可視化」の重要性について、ビルコム株式会社 代表取締役兼CEOの太田滋にインタビューしました。

 

広報・PRの効果測定における3つの指標

効果測定について、従来の指標を教えてください。

太田:効果を測る指標には、大きく3つの段階があります。

1.アクション指標:プレスリリースの配信回数、メディア取材の対応数、記者訪問数など、広報・PR活動の量や質を測る指標

2.アウトプット指標:記事掲載数、広告換算費、記事の論調など、広報・PR活動の成果を測る指標

3.アウトカム指標:記事を読んだ生活者の行動変容を測る指標(検索数やサイト流入数など)

これまでは、記事掲載数などの「アウトプット指標」が重視されてきました。しかし最近では、広報・PRの役割がマーケティング領域に広がり、記事を読んだ後の行動(アウトカム指標)がより重要視されるようになっています。

 

具体的には、どのような行動が重要になるのでしょうか?

太田:たとえば、「記事がメディアに掲載された」「SNSで多くの人にシェアされた」ということ自体は厳密には成果とは言いにくいと思います。大切なのは、記事を読んだ人が実際に何らかの行動を起こしたかどうかです。具体的には、記事を見た人が企業名を検索したか、商品の公式サイトにアクセスしたか、ブランドに対する認知や興味が高まったか。こうした「記事を読んだ後の行動」を可視化することで、広報・PR活動の本当の価値を測れるようになると考えています。

 

「アウトカム指標」の重要性

なぜアウトカム指標が重視されるようになったのでしょうか?

太田:広報・PRの効果測定に長く使われてきたのが「広告換算費」です。これは、メディアに掲載された記事を、広告として購入した場合のコストに置き換える指標です。しかし、業界内でも、広告換算費は本来の価値を正しく測っているものなのか、といった疑問の声が上がっています。また、広報・PRの効果測定に関する「バルセロナ原則3.0」では「広告換算費はPRの価値を測るものではない」と明記されています。

2023年の6月に日本広報学会が「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である」と定義しました。つまり、業界全体が、広報・PRの効果測定では単なるメディア露出の量ではなく、事業にどのように貢献したかを測る必要がある、といった考え方に変化しつつあるのです。では、事業への貢献とは何を意味するのでしょうか。すぐに思い浮かぶのは売上です。

 

「売上への直接的な貢献」を測るのは難しいのではないですか?

太田:その通りです。売上は、価格・流通・店頭の状況・広告などさまざまな要因で決まります。広報・PRの影響だけを切り分けるのは難しいですよね。そこで、ビルコムでは「PRパワー」という新しい指標を開発しました。これは、ブランド力を高め、最終的に売上につなげる仕組みを数値化するものです。

広報・PRの成果は「検索行動」で測る

PRパワーとは、具体的にどのようなものですか?

太田:「PRパワー」は、広報・PRがブランド力を高めるプロセスを測る指標です。4つの要素で構成されています。

1.助成想起(認知の量)

2.カテゴリ純粋想起(競合の中でブランドを思い出せるか)

3.カテゴリ想起集合(購入候補に入るか)

4.検索行動(実際に調べるか)

特に重要なのが「検索行動」です。指名検索数(社名やブランド名での検索)が増えれば、それは広報・PR活動によって消費者の行動に影響を与えた証拠になります。

 

スマートフォンが世の中に普及している今、生活者は情報をすぐに検索することができます。掲載された内容に対して、興味を持ったらまず調べる。このごく自然な行動こそが広報・PR活動の成果だと考えています。

 

PR Analyzerで「行動変容」を可視化する

PR Analyzerの新機能は、どのような点が画期的なのでしょうか?

太田:今回リリースした「行動変容分析機能」では、記事データとWebアクセスデータの相関を可視化できるようになりました。具体的には、PR AnalyzerがGoogleアナリティクスやGoogle Search Consoleと連携したことで、記事掲載と同時に検索数が増えたか、記事を読んだ人がサイトに流入したかといったデータを自動で検出し、画面上で確認できる仕組みになっています。

これにより「どの記事が、どれだけ行動変容を生み出したか」が明確になります。テレビで掲載があった日にWebの商品ページへのアクセス数が上がった、新聞での掲載があった日に企業名が多く検索されたなど、データの相関を見ることで効果がわかり、次の打ち手の仮説が立てられます。しかし、担当者が毎回さまざまな組み合わせで相関を分析するというのは非効率ですよね。そこで、媒体区分・記事の論調・重点媒体などで絞り込んだ記事データとWebアクセスデータが同じタイミングで上昇した場合に、PR Analyzerが自動で知らせる機能も実装しました。

 

「3つの不」を解決して経営に貢献できる機能へ

最後に、今後の展望をお聞かせください。

太田:広報・PR業界には「3つの不」があると考えています。

1.不透明(活動効果が見えにくい)

2.不確実(記事の掲載有無をコントロールできない)

3.非効率(効果測定が手作業で時間がかかる)

この課題を解決し、広報・PRが経営に貢献できることを、もっと多くの企業に理解していただきたいと思っています。そして、PR Analyzerの新機能を通じて、広報・PRの価値をより明確にし、業界のスタンダードを変えていくことを目指します。

 

ビルコム株式会社 代表取締役兼CEO 太田 滋

経営管理博士。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科国際マネジメントサイエンス専攻一貫制博士課程修了。Stanford-NUS Executive Program in International Management修了。2003年にビルコム株式会社を創業。市場創造と評判形成に貢献する次世代PRを掲げ、マスメディア、Web、SNSを含めた統合的なコミュニケーション戦略を手掛ける。2009年に口コミマーケティングの健全なる育成・啓発を支援するWOMマーケティング協議会を立ち上げ、初代理事長を務める。2019年、青山学院大学国際マネジメント学術フロンティア・センター特別研究員。2020年〜21年には、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科にて寄付講座を実施。

 

書き手:コーポレートブランディング局 川島弓奈

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