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  • 2025年03月17日
  • PRトレンド 、PRノウハウ

物価高騰の中「指名買い」をしてもらうためには? 今、PRが最強のマーケティング戦略である理由

昨今、マーケティング戦略において、マス広告だけでなく、生活者の共感や信頼を獲得するためにPR手法の活用が不可欠となっています。メーカー各社は第三者による客観的な情報発信や、長尺コンテンツを活用した深い共感の獲得、さらには潜在層へのアプローチを実現するために、積極的にPR施策を取り入れるようになっています。

今回は、こうした背景を踏まえて、PR戦略フレームワークの開発と改善を担当する当社のステークホルダーエンゲージメント局 局長 長沢美香に話を聞きました。具体的な事例やエピソードを交えながら、メーカーがなぜPRを戦略の中核に据えているのか、その理由に迫ります。

 

広告ではリーチしきれないターゲット層に、PRでアプローチ

マス広告だけではリーチしきれないターゲット層に、PRがどのように効果的だと感じていますか?

長沢:従来のマス広告は、企業が自らのメッセージを一方的に発信するため、幅広い層にリーチできる反面、ターゲット層へのアプローチが浅くなりやすいという課題があります。これに対し、PRはメディアやインフルエンサーといった第三者を介して情報が発信されるため、客観性が付加され、生活者に信頼され、共感が生まれやすいという強みがあります。

また、PRは媒体の編集枠を活用することで、単なる短いメッセージではなく、製品やサービスの背景、価値、使い方をじっくりと伝えることができます。その結果、生活者に対して深いアプローチが可能となり、マス広告だけでは届かないターゲット層にも、より本質的なメッセージを届けることができると考えられます。

 

生活者の共感や話題性を生む上で、PRならではの強みを感じたことはありますか?

長沢:PRの手法のひとつに、KOL(Key Opinion Leader)に製品のメリットを語っていただく方法があります。これにより、信頼性や公共性が大きく発揮されます。例えば、「下味冷凍」といった新たな習慣を社会に広める際、冷凍専門家や家事の専門家、時短料理の専門家にそのメリットを伝えていただきました。その結果、年間多くのメディアでも取り上げられ、料理家が自ら書籍化するテーマにまで発展。信頼性と公共性が一気に高まったのです。

また、当社でPRを伴走させていただいた味の素社の「ほんだし®」「味の素KKコンソメ」「丸鶏がらスープ™」は、「地味調味料」という新たなカテゴリーを提案し、社会に広めていくコミュニケーションを行いました。「地味調味料」という言葉への共感を創るために、「地味にスゴイ」というコンセプトをKOLの方々に専門的な知見で発信してもらう。こうした活動から徐々に地味調味料という言葉を広げていきました。さらに、市場にあふれる製品の中から味の素社の調味料の立ち位置を明確に示すため、調味料カオスマップを作成しました。「地味ながらも料理を美味しくする」というカテゴリを作ったことで、WebメディアやSNSで話題となりました。

このように、PRは「共感を呼び、拡散される」仕組みをつくり、生活者の態度変容を促します。

 

PR施策が購買やブランドの信頼度向上に貢献した具体的な事例はありますか?

長沢:例えば、あるレトルト食品メーカーをテレビ番組で取り上げていただいた際に、その製品が国産野菜を使用していることを明確に伝えるため、実際の工場の映像を交えたファクトを提示しました。これによって、商品の品質や安全性を視覚的に訴求でき、広告では実現しにくい第三者発信による「信頼感」が生まれました。番組放映後、同製品は市場シェアがNo.3からNo.1に跳ね上がりました。また、レトルト食品に対する「ひとりごはん向け」といった固定観念がありましたが、工場の映像や製造過程を伝えることで、「子どもが食べても安心な食品」という新たなイメージが浸透。これが、生活者の共感を生み、購買につながった実績があります。

 

生活者に自然なメッセージを伝達する。PR活用の必要性

企業のメッセージをより自然に届けるためには、どのようにPRを活用すべきでしょうか?

長沢:広告は顕在層に対して非常に効果的な手法ですが、人口減少や高齢化の中で、顕在ニーズへの訴求だけでは、売上が伸び悩むリスクがあります。新たな顧客を獲得するためには、まだ気づいていない潜在層を顕在化させる必要があります。そのためには、PRが大きな役割を果たすと考えています。PRは企業のメッセージやコンセプトを自然な形で広く届けることができるため、ターゲット層がそのメッセージに共感し、行動を起こすきっかけを作ることができます。

また、PRでは「市場創造記号」といった、生活者に覚えやすく行動を促す言葉やコンセプトを定着させることができるため、従来の広告だけでは得られない効果が期待できます。

 

販促戦略において、PRを取り入れることが企業の成長にどのように役立つと考えていますか?

長沢:販促施策は主に、短期的な売上促進を目的とすることが多いですが、PRは企業のブランド価値や信頼性を高め、さらには生活者との深いつながりを育む中長期的な戦略です。

店頭でのPOPや即時の割引などが短期的な売上促進につながる一方、PRは企業の背景やストーリーを丁寧に伝えることで、生活者の心に残るブランドイメージを形成し、ファンを育成します。これが「指名買い」を促す基盤となり、結果として数ヶ月先やその先の中期的な売上や企業成長に大きく貢献すると考えています。PRによって、ロングセラーブランドを生み出すこともできますし、企業の価値向上にも貢献できると考えています。

マス広告だけでは届かない層に対して、PRはより深く自然な形で情報を届けることができる手段です。特に、第三者を通じた情報発信や信頼性の高いメディア露出は、生活者の認識や態度変容を促し、ブランドの価値を長期的に高める力があります。

これからは広告だけでなく、PR手法も活用しながら、生活者に響くコミュニケーションを設計していくことが、企業の成長にとってますます重要になっていくでしょう。

 

ステークホルダーエンゲージメント局 局長

長沢美香

SP業界からPR業界へ転身し、20年以上に渡り企業のブランディング、マーケティングに従事。旭化成ホームプロダクツ、マツキヨココカラ&カンパニー等、生活に密着した製品・サービスを届ける大手企業を支援する統合型PRチームを統括。2020年「IPRA Golden World Awards 2020」最優秀賞を受賞。現在はストラテジックプランナー兼メディア局長として、多様化するメディアニーズを把握し、経営課題を解決するブランディングやマーケティングPRを担っている。「ゆとりうむプロジェクト」や「HER-SELF女性の健康プロジェクト」など、複数企業が協働するプロジェクトも立ち上げ推進中。

 

書き手:コミュニケーションブランディング局 川島弓奈

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