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- 2025年08月19日
- PRトレンド
企業の「ファン」が最強のパートナーに?今、注目される「ファン株主」とは
企業が持続的に成長し、未来を切り拓くためには、顧客、従業員、株主といったステークホルダーの存在が重要です。近年、単なる投資家としてだけでなく企業の「ファン」として深く関わる「ファン株主」が存在感を増しています。彼らは、企業の製品やサービス、ブランドに心から共感し、時には自らアンバサダーとして企業の魅力を発信してくれる、最強のパートナーとなり得る存在と言えます。
なぜ今「ファン株主」が重要なのか?
従来の株主は、投資リターンを主な目的とする傾向がありました。しかし、情報が瞬時に拡散する現代において、企業の評判やブランドイメージは株価に大きな影響を与えます。企業の熱心なファンである株主は、企業に多大なメリットをもたらします。
企業の長期的な成長への貢献
短期的な株価変動に一喜一憂せず、企業のビジョンや戦略を理解し、長期的な視点で応援してくれるため、安定した株主基盤を形成します。
ブランドロイヤルティの向上
自らが企業のファンであるため、製品やサービスへの愛着が深く、積極的に利用・購入することで企業の売上向上に貢献します。
広報チャネルとしての機能
SNSなどを通じて自らの体験を発信したり、友人・知人に推奨したりすることで、企業の魅力を自然な形で広めてくれます。これは、広告では得られない、信頼性の高い情報として受け止められます。
株主優待以上の価値
金銭的なリターンだけでなく、企業とのエンゲージメントや共感に価値を見出すため、株主優待だけに頼らない関係性を構築できます。
先進的な取り組みに学ぶ!ファン株主を育むユニークなPR戦略
では、具体的にどのようにファン株主との関係を深めていくのでしょうか。ここでは、先進的な取り組みで知られる味の素、カゴメ、ヤマハ発動機の事例をご紹介します。
味の素:食と健康を通じたコミュニケーション
味の素は、自社の強みである「食と健康」をテーマに、株主とのエンゲージメントを深めています。例えば、工場見学や料理教室の開催、自社製品を使ったレシピコンテストなど、体験型のイベントを積極的に実施しています。
工場見学・料理教室:製品ができるまでの過程を肌で感じ、実際に自社製品を使った料理を体験することで、製品への理解と愛着を深めます。
株主通信での情報発信:事業戦略や新製品情報だけでなく、サステナビリティへの取り組みや社員の声を伝えることで、企業の全体像や魅力を多角的に伝えています。
これらの取り組みは、株主に情報を提供するだけでなく、企業ブランドへの共感を促し、株主が「味の素のファン」へと進化するきっかけとなっています。
カゴメ:お客様を「パートナー」として尊重する姿勢
カゴメは、株主を「お客様であり、共創パートナー」と捉え、対話を重視したユニークな取り組みを展開しています。
トマトの苗プレゼント: 株主優待として、製品で使われている品種のトマトの苗をプレゼントするユニークな取り組みを行っています。自宅でカゴメの野菜を育てるという体験を通じて、ブランドへの愛着を深めてもらう狙いです。
株主総会での対話重視:一方的な情報提供に留まらず、株主からの質問や意見に丁寧に耳を傾け、双方向のコミュニケーションを大切にしています。株主総会に参加できない株主向けには、インターネットを通じて質問を受け付け、回答しています。
「野菜と健康」に関する情報提供:自社の専門性を活かし、健康に関するセミナー開催や情報発信を行うことで、株主の健康意識向上にも貢献しています。
これらの活動は、株主が単なる投資家ではなく、カゴメの製品や理念を共有し、共に成長していくパートナーであるという意識を醸成しています。
ヤマハ発動機:モビリティ体験でブランドを体感
ヤマハ発動機は、モーターサイクルやマリン製品といった「動く」製品を扱う企業ならではの、体験型コンテンツで株主とのエンゲージメントを高めています。
株主向け体験イベント:eBike体験会やプレジャーボート試乗会など、株主が実際に製品に試乗できる機会を設けることで、ヤマハ発動機の技術力や製品の魅力を五感で体感する場を創出しています。
工場見学や開発現場の公開:製品が生まれる現場を見学する機会を提供することで、企業のモノづくりへのこだわりや情熱を伝えることができます。これは、株主に対して企業への信頼感を高めることに繋がります。
株主優待でのオリジナルグッズ提供:金銭的な優待だけでなく、ファン心をくすぐるオリジナルグッズを提供することで、株主がヤマハ発動機のブランドを身近に感じ、応援したくなる気持ちを醸成しています。
これらの取り組みは、株主がライフスタイルや趣味と結びつけて認識するきっかけとなり、「ヤマハ発動機のファン」としての絆を深めています。
PRの力で「ファン株主」との絆を深める
2025年7月30日の日本経済新聞では、投資家が選ぶ「満足IRランキング」の調査結果が発表されました。7位に味の素、11位にヤマハ発動機、12位にカゴメと、3社とも上位にランクインしています。
参考:2025年7月30日 投資家が選ぶ「満足IR」トヨタ1位 不満上位は? - 日本経済新聞
味の素やカゴメ、ヤマハ発動機の事例からもわかるように、企業がファン株主との良好な関係を築くためには、戦略的なPR活動が必要です。株主優待だけでなく、企業の価値観やビジョンを共有し、共感を呼び起こすためのコミュニケーションが重要です。
具体的には、以下のようなPR施策が考えられます。
- 体験型イベントの開催:工場見学、製品体験会、特別セミナーなど、株主が企業をより深く知る機会を提供します。
- 魅力的な情報発信:株主通信、IRサイト、SNSなどを活用し、事業戦略、新製品、社会貢献活動、社員の想いなど、企業の多面的な魅力を伝えます。
- 双方向のコミュニケーション:株主総会やIR説明会での丁寧な質疑応答、アンケート実施、専用問い合わせ窓口の設置など、株主の声を聴く機会を設けます。
- ブランドストーリーの共有:企業の誕生秘話や製品開発へのこだわり、社会貢献への想いなど、共感を呼ぶストーリーを発信します。
- インフルエンサーとしての株主へのアプローチ:熱心な株主に対して、新製品のモニターやイベントへの招待などを行い、情報発信を促します。
ファン株主は企業の未来を切り拓く!
ファン株主は、企業に対する出資者ではなく、企業の成長を心から願い応援してくれる心強い味方です。こうした方々がブランドの伝道師となり、新たな顧客層の獲得にも貢献してくれます。もし現在の株主との関係をさらに深めたい、新たな株主層を開拓したいとお考えでしたら、ぜひ「ファン株主」という視点を取り入れたPR戦略を検討してみてください。
ビルコムは、単なる情報発信に留まらず、データに基づいた戦略的なPR活動を通じて、企業の市場創造を支援しています。 その強みは、独自の診断技術と伝達技術にあります。
診断技術:これまで曖昧になりがちだったブランド力をデータによって可視化します。独自の指標である「PRパワー」の考え方に基づき、当社で開発・提供している広報効果測定ツール「PR Analyzer」の報道データを用いて測定。必要なPR戦略や現在の課題をデータで客観的に確認できます。感覚的だったブランドの概念を明確なデータで捉え、効果的な戦略立案に繋げています。
伝達技術:PRパワーの測定を通じて課題を明確にすることで、次に打つべき効果的なPR戦略のパターンを見出すことができます。ビルコムには20年以上蓄積されたPR戦略の豊富なノウハウがあります。広報業務に関わるデータ分析やメディア露出状況から企業のブランド課題を可視化し、数多くの成功事例に基づいた打ち手のパターンを蓄積しています。
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書き手:コーポレート戦略局 川島弓奈