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  • 2021年10月24日
  • PRトレンド

【前編】PR効果測定における「バルセロナ原則」とは? 3.0へのアップデートのポイント

コロナ禍において、広報・PR担当者の求められる役割も変化してきているのではないでしょうか。当社でも、広報・PR担当者の方が、より経営・事業成長に効く広報・PR活動を求めれるようになったという声をよく聞くようになりました。

では、どのように「経営や事業成長に効いた」ということを示していけばよいのでしょうか。掲載数や広告換算費をみれば十分でしょうか?今回ご紹介する「バルセロナ原則」は、その指針を与えてくれるものであると考えています。

 ※本記事は前編です。ぜひ後編も合わせてご覧ください。

 

バルセロナ原則とは

バルセロナ原則とは、国際的なコミュニケーション効果測定・評価協会であるAMEC(International Association for Measurement and Evaluation of Communication)が提唱したPRの効果測定に関する7原則のことです。世界的な広告賞の祭典でもあるカンヌライオンズのPR部門でも、バルセロナ原則に留意しながら審査が行われたとされているほど、広報・PRの効果測定の領域で近年信頼性を増している原則といえます。2010年に初めて提示され、2015年に「バルセロナ原則2.0」、そして2020年に「バルセロナ原則3.0」が提示されました。

また、AMECのホームページ上では、次のように今回のアップデートについて説明があります。

「2010年もしくは2015年当時には一般的とされていた慣例が、特にここ2~3年の間に大きく変化し、今では時代遅れになっている可能性があることを、バルセロナ原則3.0は認めています。」

以下、バルセロナ原則3.0を改めて確認しつつ、バルセロナ原則2.0から何が変化したのか、実務においてどのような考え方で活用すればよいのか、原則の1つ1つを解説し、要点を整理していきたいと思います。

 

「バルセロナ原則3.0」

まずはバルセロナ原則3.0を確認しましょう。下記が7つの原則です。(※英文は原文、和訳はビルコム)

1. Setting measurable goals is an absolute prerequisite to communication planning, measurement,and evaluation
計測可能なゴール設定は、コミュニケーションのプランニング、測定、評価において、絶対的に必要な前提条件である

2. Measurement and evaluation should identify outputs, outcomes, and potential impact
測定と評価はアウトプット、アウトカムに加え、潜在的なインパクトを明らかにすべきである

3. Outcomes and impact should be identified for stakeholders, society, & the organization
ステークホルダー、社会、そして組織のために、アウトカムとインパクトを明らかにすべきである

4. Communication measurement and evaluation should include both qualitative and quantitative Analysis
コミュニケーションの測定と評価は、定量分析と定性分析の両方を含めるべきである

5. AVEs are not the value of communication
広告換算費はコミュニケーションの価値を測定するものではない

6. Holistic communication measurement and evaluation includes all relevant online and offline channels
包括的なコミュニケーションの測定と評価には、オンラインとオフラインの両チャネルを含む

7. Communication measurement and evaluation are rooted in integrity and transparency drive learning and insights
コミュニケーションの測定と評価は、学びとインサイトを導くため、健全さと透明性に基づくべきである

※参考:バルセロナ原則3.0 - AMEC | International Association for the Measurement and Evaluation of Communication.

 

 

「バルセロナ原則」アップデートのポイントと考察

続いて、バルセロナ原則2.0と比較し、アップデートのポイントをみていきます。

 

原則1

2.0:Goal Setting and Measurement are Fundamental to Communication and Public Relations
(ゴールの設定と効果測定はコミュニケーションとPRにとって重要である)

3.0:Setting measurable goals is an absolute prerequisite to communication planning, measurement,and evaluation
(計測可能なゴール設定は、コミュニケーションのプランニング、測定、評価において、絶対的に必要な前提条件である)

 

バルセロナ原則の2.0と3.0を比較してみると、「PRの効果測定においてゴール設定が必要である」という点が共通していることがわかります。さらに、「What to do(※1)」をみていくと、どちらにも、「目標は『SMART』に基づいて達成を目指すべき」という説明があります。 ※1:各原則の詳細説明内で、具体例に取り組むべきこととして記載されている内容

「SMART」とは、Specific=企業特有の、Measurable=測定可能な、Achievable=達成可能な、Relevant= 活動に関連性があり、Time-bound=いつまでにという言葉の頭文字です。目標設定においては、このSMARTがまず第一条件になります。

一方、3.0では「コミュニケーションプランニング」がゴール設定の対象として追加されました。具体的には、「誰に到達しようとしているのか」、「何を言おうとしているのか」、「どの程度の影響を与えようとしているのか」、「いつ変化を見たいのか」をプランニング段階から決めておくことが必要になります。

また、測定対象となるチャネルは、2.0がいわゆるPESO(ペイド、アーンド、ソーシャル、オウンド)だったのに対し、3.0では「Organic(オーガニック)」「Influencer(インフルエンサー)」も追加されています。

これらを踏まえると、PR効果測定を考える第一ステップとして、プランニングから測定までのPR活動実行過程のすべてにおいてゴール設定が必要になり、チェックすべきメディアも拡張されたといえます。

当社では、このゴール設定について、「PR効果測定を策定するときに考慮するべき7つの視点」として、以下の項目も考慮して効果測定を設計します。

ポイントしては、「よりタイムリーな経営課題を抽出すること」と「ゴール設定の段階から各チャネル調査を行うこと」です。

 

原則2

2.0:Measuring Communication Outcomes is Recommended Versus Only Measuring Outputs
(アウトプットだけの測定よりも、むしろコミュニケーションのアウトカムを測定することが推奨される)

3.0:Measurement and evaluation should identify outputs, outcomes, and potential impact
(測定と評価はアウトプット、アウトカムに加え、潜在的なインパクトを明らかにすべきである)

 

バルセロナ原則3.0では「潜在的なインパクトを明らかにすべき」という要素が追加されています。原則1でもプランニング段階からゴール設定を求めていたように、自分たちのターゲットに対してどのような影響・行動変容(=インパクト)を与えたいか明確に意識したうえで測定を行うことが重要だ、ということをしばしば強調しています。

次に、What to doをみていくと、測定の計画を立てるために、まず以下の4つの準備が必要とあります。すなわち、①ツール選定、②進捗の計測方法、➂KPI設定、➃競合の特定です。実務において、➀~③を考えている広報担当者は多いですが、(明確な競合がいる場合を除き)➃が考慮から抜けがちな印象です。市場全体の傾向に左右されない効果分析のために、競合企業との相対比較が有効になります。

また、KPI設定について説明を読み進めていくと、最後に「定期的に、ジャーニーを通して各顧客との接点を測定し、すべてをコンテキストを含め、その背後にある意味を(再)評価する」とあります。顧客のあるべき姿・心情などを踏まえたカスタマージャーニーを定義し、PR活動がインパクトを与えられているかを判断するためのKPIを立てていくべきと読み解くことができます。

そして、具体的な指標となるのが、「アウトプット」と「アウトカム」です。アウトプットは、「コミュニケーションチャネルを通じてうまれた一時的な結果反応」と説明があります。具体的には「掲載数」「インプレッション」「リーチ」「波及数」「閲読数」「視聴率」などです。アウトカムは、「信念、態度、そして/もしくは行動の変化(変化したこと)」と説明があります。具体的には、「ブランドへの好意形成」「登録」「購買・注文」などです。

当社では、PR活動に関連する指標である「アクション」も加え、アクション・アウトプット・アウトカム指標として、広報実務でよく使う指標一覧を下図のように整理しています。是非、KPI選定の参考にご活用ください。

これらのアクション・アウトプット・アウトカムを結びつけることで、自分たちのアクションがどのようなアウトプットに繋がったか、そしてそれが最終的にどのようなアウトカムに繋がったかが、よりストーリー性をもって評価できるようになるのです。

 

▽アウトプット・アウトカム指標の相関分析イメージ 

 

 

バルセロナ原則の概要と、原則1~2についてアップデートのポイントをご紹介しました。後編では、原則3~7について解説します。

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担当ライター

ビルコム株式会社 宮澤 佳来(みやざわ よしき)

PR Tech局 PdM/カスタマーサクセス

2016年ビルコム入社。メディアプランナーを経て、PR Analyzerの立上げにセールスとしてジョイン。その後、モバイルアプリ向けツールを提供する企業にてカスタマーサクセスマネージャーを経験。2020年ビルコムに復帰。現在はPR AnalyzerのPdM(プロダクトマネージャー)として、PR Analyzerの機能企画・開発進行を担当する。

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