PR BLOG
PRブログ
- 2022年02月25日
- PRトレンド
「微アル」元年、ビールメーカーの本気度が伺える
習慣デザイン研究所 研究員の田中です。定番ブランドの活性化、新市場の創造・定着に関心ある企業様に活用いただくべく、新カテゴリや新習慣を創出するためのコミュニケーション、PR手法について事例研究を行っています。
選択肢の創造
今回扱う事例は「微アル」と呼称されている微アルコール市場の開拓についてです。2021年から「微アル」という記号がニュースによく登場するようになりました。
「微アルコール」とは、アルコール度数1%未満の飲料を指しており、度数0.00%の「ノンアルコール」とは区別が明確になっています。これまでにも「ストロングビール」など度数に応じた分類や、「第3のビール」のような麦芽を使用する比率で区別するものなど、カテゴリーを創造することで、消費者に対して様々な選択肢が提示されてきました。
近年では、「ノンアル（コール）」市場が形成され、飲めない人・飲まない人への選択肢として普及してきた印象です。「微アル」市場の動きは、新たな選択肢として注目が集まっています。
2021年は「微アル」元年
2022年2月現在、「微アル」市場を積極的にリードしているのはアサヒビールのビアリー。そして、サッポロビールのザ・ドラフティも追随している状況です。まずは主要ブランドのメディア露出状況を見てみました。※検索条件は「微アル＋ブランド名」のセット露出を対象としています。
比較ブランド：ビアリー（アサヒビール）、ザ・ドラフティ（サッポロビール）、ハイボリー（アサヒビール）
2021年3月、アルコール度数0.5％の“微アルコール”ビールテイスト飲料『アサヒ ビアリー』が発売され、新カテゴリー「微アル」への注目が集まりました。
2社からのブランドが登場した7月にはテレビ各局でも長尺露出があり、微アルコール市場の認識ができ始めました。この段階で「微アル」という選択肢を認識した生活者は、3ブランドいずれかからトライアル購入することになります。
新しいカテゴリーや市場形成としてのストーリーを作ることで、単なる新ブランド発売ではないPR露出を実現されています。まさに2021年「微アル」元年といえるでしょう。
～掲載記事例～
番組：FNN Live News α（2021年07月13日、140秒/409,000人）
サッポロビールは微アルコール「サッポロ The DRAFTY」を発表。アルコール度数はわずか0.7％で麦芽100％のビールを元に作られビール好きも納得するうま味を感じることができるという。一方、微アルコール分野で先行するアサヒビールはアルコール分0.5％の「アサヒ ハイボリー」を発表した。アサヒビールは約5億円の設備投資を行い脱アルコール製法の蒸留設備の稼働を12月に予定している。
番組：TBS NEWS（2021年07月14日、168秒/287,000人）
アサヒビールがリニューアルを発表した「ビアリー」、アルコールが0.5％のビールテイスト飲料。微量のアルコール飲料が注目されている。コロナ禍で増えた家飲み、問題は飲みすぎてしまうこと。3人に1人がコロナ禍で飲酒の頻度と量が増えたと回答している調査もある。飲み過ぎたくない需要に応えようとアサヒが出したのが「アサヒ ハイボリー」。1滴だけウイスキーを入れたという。サッポロもアルコールが0.7％の「The DRAFTY」を発表した。ターゲットはビール好きの客、楽しみたいが酔い過ぎたくない需要に答えたものである。新たに誕生した微アルコール市場は拡大していきそう。
*PR Analyzer上のクリッピングデータを引用
参照）アサヒビール社 プレスリリース
アルコール度数0.5％の“微アルコール”ビールテイスト飲料『アサヒ ビアリー』3月30日（火）新発売！
「微アル」への本気度
「微アル」について、さらに見ていくとビールメーカー側の本気度を伺い知ることができます。アサヒビール社のIR資料（以下）から、「微アル」市場の形成が「お酒を飲まない・飲めない」方を対象とした重要な事業戦略になっていることが分かります。推定では国内だけで約4,000万人（20〜60代対象）もいるというから驚きです。近年の「ノンアル」市場拡大は、一方で将来的なアルコール市場の縮小にも繋がりかねないという危機感も想像できます。
参照）『中長期経営方針』の更新 2021年総括と2022年方針
2022年以降、メーカー各社から「微アル」ブランドが揃ってくるのか、まずは今夏の動きに注目したいですね。
新市場やカテゴリー創造に関心のある方はこちらへ
マーケティングやPRに関する最新セミナー情報をご希望の方は、
下記フォームよりメールマガジンの登録をお願いします！