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  • 2025年12月04日
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【2025年振り返り】ターゲットは「人」から「熱量」へ。市場を広げる『界隈PR』

2025年も残すところあとわずかとなりました。 今年のマーケティング・PR業界を振り返ったとき、一つのキーワードが浮かび上がります。それは、「界隈(かいわい)」です。

今、年齢や性別といった枠を超え、特定の興味関心を持つコミュニティ=「界隈」に刺さる施策が市場を動かしています。いわゆる「界隈消費」と呼ばれるこの現象。本記事では、2025年を象徴する「界隈PR」の成功法則を、事例とともに振り返ります。

 

なぜ今、「界隈」なのか?

かつては「20代女性」や「主婦層」といった広い括りで商品を訴求していました。しかし、同じ20代女性でも「推し活に全力な人」と「ミニマリスト志向の人」では、響く言葉も接触するメディアも異なります。

「誰か(Who)」という属性よりも「何に熱狂しているか(What)」という文脈でターゲットを捉えることが重要です。広く浅く声をかけるのではなく、「私たちの界隈のことを分かってくれている」という深い共感こそが、生活者の心を動かす時代になりました。

 

事例に学ぶ市場拡大の法則

今年話題になった施策の多くは、既存の枠を超えて別の界隈に接続する、という共通点があります。

1. 「風呂キャンセル界隈」× 入浴剤メーカー

Z世代を中心にSNSで投稿された「面倒くさくてお風呂に入れない(風呂キャンセル)」というワード。これに対し、LUSH(ラッシュジャパン)などのブランドがSNS上で「限界な日は無理しなくていい」と寄り添う発信を行うなど、肯定するスタンスで参入。「意識の高い美容」ではなく「ズボラ許容」という文脈で、「疲れている人々」といった新たなファン層とのエンゲージメントを獲得しました。

2. 「推し活界隈」× オフィス文具

代表的なのが、オフィス文具や事務用品を開発・提供しているキングジムの事例です。元々はビジネスパーソンがカバンの中や書類などを整理するための収納用品やファイルでしたが、SNS上で「推しのアクリルスタンド(アクスタ)を持ち運ぶのに最強」と話題に。そこで企業側が「あなたの大切な推しを守ります」といった文脈で、推し活向けの商品として再訴求。機能性はそのままにターゲットを転換したことで、「オフィス文具」から推し活界隈における「マストアイテム」へと生まれ変わり、市場を拡大しました。

3.「アウトドア界隈」×食品保存ブランド

旭化成ホームプロダクツの「ジップロック®」。誰もが知る食品保存ブランドですが、以前から「アウトドア界隈(登山・キャンプ好き)」の間では、「濡れたウェアを入れる」「スマホや地図を水から守る」「食事をコンパクトに持ち歩く」といった、本来とは違う用途で密かに愛用されていました。 すでにアウトドア界隈で使われている事実(UGC)から、整理収納ギアや防水ギアとして再定義。キャンプ・登山・釣り好きが集まる「東京アウトドアショー」へ出展するなど、界隈に寄り添ったコミュニケーションを展開しました。その結果、「ジップロック®」は「食品保存ブランド」から「アウトドアの必需品」へとパーセプション(認識)を広げ、新たな市場を獲得しています。

 

まとめ:2026年に向けたヒント

2025年の事例から見えてくる、これからのPRのヒントは以下の3点です。

「発見」が9割
新しい使い方を企業が考案するのではなく、意外な使われ方をSNSなどで見つけ出し、新しい市場のヒントを得ることが重要です。

「機能」より「文脈」
その界隈の人々にとって、自社商品はどう役立つのか。「機能」ではなく「文脈」に変換して伝えることが重要です。

侵入者にならない
その界隈には独自の文化があります。企業がいきなり踏み込むのではなく、「便利に使ってくれてありがとう」というリスペクトを持ったコミュニケーションが、共感を生む鍵となります。

 

2026年は、さらに細分化された「界隈」へのアプローチが重要になるでしょう。 自社の商品が、実はまだ見ぬどこかの「界隈」で熱狂的に支持されているかもしれません。改めて「自社商品の意外な使われ方」を探してみることで、PRの新たなヒントが見つかるでしょう。

 


 

ビルコムは、単なる情報発信に留まらず、データに基づいた戦略的なPR活動を通じて企業の市場創造を支援しています。 その強みは、独自の診断技術と伝達技術にあります。

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書き手:コーポレート戦略局 川島弓奈  

 

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