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  • 2022年03月23日
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【セミナーレポート】 炎上した際、広報はどうすべきか?国内外の事例に学ぶ

2022年3月7日に開催された、WOMマーケティング協議会主催「WOMJクチコミフェスタ2021」にて、「国内外の事例に学ぶ、炎上の傾向と対策 ~ピンチをチャンスに変える方法とは~」をテーマに当社取締役 早川 くららが登壇しました。

コミュニケーション戦略アドバイザーである大杉 春子 氏(レイザー株式会社 代表取締役)とセッションを行い、直近で起きた象徴的な国内外の炎上事例を基に、PR Analyzerでメディア・SNS露出状況を分析。クチコミの傾向と炎上時の対策について考えました。 ここでは、当日の内容を一部ご紹介します。

 

直近で起きた象徴的な国内事例2件

①アルファ・ドライブ社

【概要】
2021年10月、リブランディングを目的とした広告が、品川駅のコンコースを全面ジャック。CEOが自身のSNSアカウントで、広告クリエイティブ写真と共に広告出稿したことを投稿。「今日の仕事は、楽しみですか。」というキャッチコピーがネガティブに捉えられ、「朝からこの広告を見るのはつらい」「出勤時に見ると傷つく」と批判を浴びた。 さらにTwitterで「#品川駅前で一番心傷つけた奴が優勝」などの大喜利が繰り広げられ、その様子がニュースで取り上げられた。翌日、広告についての謝罪文を発表し、広告掲載が停止された。

アルファドライブ社広告

 

早川:炎上時の拡散状況について、PR Analyzerの報道データとInsight Intelligence Q(データセクション株式会社)のTwitterデータを用いて、分析してみました。

 

PRAnalyzerでのデータ分析

 

Twitterの投稿件数とメディアでの露出推移を比較すると、同じタイミングで山が来ており、瞬発的に拡散されていることがわかります。Twitterは瞬発的に盛り上がりを見せている一方、メディアでの掲載や露出は、Twitter同様大きく盛り上がった後、ピークから数日間かけて小さく山になっているのがわかります。これは、ニュースで大きく取り上げられたことがきっかけとなり、さらに深堀された記事が出ていく典型的なパターンです。Twitterでリツイートされて波及したことに加え、SNSでニュースがシェアされ、さらに拡散。これによって、数日間メディア露出がありました。

記事ごとのSNS波及数を見ると、1つの媒体の記事がポータルメディアに取り上げられたことで広く情報が広がっていました。 

 SNS波及数

<広く拡散された要因>

  • 発端となったツイートの広告がキャッチーなビジュアルでインパクトがあった
  • 翌日に広告を取り下げたことにより、「広告を取り下げた」という追加情報が更に拡散された
  • タイミングが、コロナウイルスの1日あたりの新規感染者数が過去最高に達したことが発表された翌日のことであった

 

②IKEAのCM

【概要】
家事をしている女性が最後まで座らないのに対し、男性はずっと座っているシーンが流れたことで、男女間での対比の印象が強く、「女性は召使いじゃない」「ジェンダーギャップを感じる」といった批判の声が多く挙がった。

 

PRAnalyzerでのデータ分析

 

早川:Twitterでは、3、4日かけて情報が拡散されていきました。メディアでの露出は、深掘りする記事などもあまりなく、1日で山ができ、それ以降は落ち着いています。SNSでの波及数を見てみると、ポータルサイトでの波及が最も多く、ポータル系のニュースで記事を見てSNSでシェアした方が多かったようです。IKEA社はCMを取り下げることなく、明言も避けたため、CMの解釈についてのみの炎上でした。 Yahoo!ニュースのコメント欄を見ると、CMに対する批判的なコメントはあるものの、解釈の違いで自分はこう感じたなど、コメントの中でお互いの価値観を交わし合うことで落ち着いていったパターンだと言えます。

 

炎上した際、広告は取り下げるべきか?

大杉氏:アルファ・ドライブ社は、リブランディングのタイミングで広告を展開しましたが、CEO個人のアカウントでツイートしたことが拡散され、炎上してしまいました。広告内容というより、キャッチコピーのみが切り取られ、意図していない解釈をされて炎上しています。企業側が、この広告メッセージに込めた想いや意図をきちんと説明できていれば、広告掲載を停止しなくても良かったのではないか、とも考えられます。ただ、これだけ大きくネガティブに取り上げられてしまい、1日で広告を取り下げる決断を下した企業側の心理も理解できます。

IKEA社は炎上後に明言を避けましたが、どういう意図があってこのCMを制作したか、説明があっても良かったかもしれないですね。昨今ジェンダーに関しては特に炎上しやすいトピックスですが、様々な解釈がありながらも、説明を加えることでもう少し企業側への賛同を得られたかもしれません。

 

炎上後の対応によりイメージを好転させた海外事例

ケース:Peloton社(オンラインフィットネスを提供する会社)

【概要】
アメリカの人気ドラマで、Peloton社製品のバイクに乗った後、心臓発作に見舞われ死亡するという内容が放送され、その影響により株価が11%以上下落。炎上してから48時間以内に再度CMを流すなど、迅速な対応により人々の賛同を得て、見事レピュテーションの回復に成功した。

参考記事:https://forbesjapan.com/articles/detail/44877

<Peloton社が取った具体的な対応>

  • 迅速に、心臓の専門医による声明を初動発表
  • Peloton社広報担当者がドラマの内容を事前に知らされていなかったことを発表し、ファンへの共感と理解を示し柔軟に対応
  • 心臓発作に見舞われる役を演じた俳優クリス・ノースと、Peloton社の人気自転車インストラクターが自転車に乗ることについて語り合う「He's alive」というタイトルのパロディCMを48時間以内に公開

 

大杉氏:ドラマの中では、Peloton社製品のバイクの性能まで紹介されており、プロダクトプレイスメントとしては一見成功に見えたのですが、心臓発作に見舞われ死亡するというシーンだけを見ると、バイクに問題があったかのように捉える視聴者も多くいました。

今回、レピュテーションの回復に成功した要因として、まずはPeloton社が迅速に対応を行ったことです。心臓の専門医がバイクとの因果関係を説明し、Peloton社広報担当者はドラマの中で、自社の製品の使われ方を事前に知らされていなかった、と発表しました。また、出演俳優がパロディCMに出演し、それを炎上からわずか48時間以内に公開。Peloton社のインストラクターたちが、個別にソーシャルメディアでCMをシェアしたことで次々と拡散され、人々の共感を得たのです。クリエイティブの力とスピード対応で、ピンチをチャンスに変えました。

炎上からレピュテーション回復まで、わずか48時間ということもあり、一部のユーザーからは計画的な炎上商法だったのでは?とも言われています。Peloton社は、2019年の年末商戦の際にも、プロモーション動画を公開して炎上。株価が大きく下落したことがあります。その経験があったことで、炎上した際の対応素地ができていたことが、今回のスピード対応に繋がったと推察できます。

 

時代変化と共に、炎上に対する企業の向き合い方は変化しているか?

大杉氏:まずは謝罪をする、という風潮がありましたが、現在は少しずつ変わってきていると感じます。必ずしも謝罪をすることがベストではないからです。ピンチをチャンスに変えるプロモーションを行う、明言を避ける、再度広告のスタンスを説明することで広告を取り下げない。形として変わってきていると感じる部分は多くあります。

早川:以前は、炎上するとすぐに謝罪し、謝罪会見を開催。謝罪声明のリリースを配信するなど、対応がある程度パターン化されていました。昨今のソーシャルメディア普及と共に、炎上は切り離せないものになってきています。予め、炎上した際の対応策を、事前に想定しておくことが必要ですね。

 早川

炎上を感知し、正しくスピーディーに対応するために組織として取り組むべきこと

早川:ソーシャルメディアでのモニタリングは、どの企業でも行っていると思いますが、ソーシャルメディア内だけでなく、ニュースから波及し、更にそれがSNSで拡散されています。相乗効果を生んで大きく波及する状況がよく見受けられるため、SNSのモニタリングに加え、各ニュースがどのようにシェアされているか。シェアされた後、拡散に至るスピード感や勢いから察知することも重要です。当社が提供しているPR Analyzerは、どの媒体にどのような論調で語られているのかを可視化し、全体像を把握することが可能です。ご導入いただいている企業様には、掲載件数や広告換算値だけでなく、ネガティブな記事の把握としてもご活用いただいています。

 

炎上覚悟で攻めのPR、リスクがあるので守りのPR どちらが良いのか?

大杉氏:シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所の調べによると、1日平均4.8件の炎上が発生しているそうです。様々なSNSが普及する現在、万人受けする広告はないと思っています。炎上リスクを想定しておく必要はありますが、炎上を恐れて萎縮することは好ましくありません。炎上することを不安視し、プロモーション内容を削ぎ落していくと、PRとしては攻めるコミュニケーションが出来なくなってしまいます。 今までの広告制作は、ファクトチェック、リーガルチェックがありましたが、最近は広告を作る企画段階で「レピュテーション(評判)リスクチェック」の評価に入ることがあります。自分たちのリスクヘッジのフローがこれでよいのか、常にアップデートし、向き合っていくこと。炎上を回避するため、事前にリスクチェックを行うことが重要です。そして、万が一炎上した際、企業としてどう対応するかが非常に重要だと考えられます。

 大杉氏

「レピュテーション(評判)リスクチェック」の評価観点

  • マイノリティ、ジェンダー等への配慮が十分か
  • プロモーションの一部分を切り取られても、批判の対象にならないか
  • 使用している単語は適切か、その内容を発表する日時は適切か
  • 最新の炎上トレンドに配慮できているか

 

まとめ

時代と共に炎上のトレンドも変化しています。最新の炎上トレンドを把握し、万が一炎上が起こった際は、それに配慮できているかが重要となります。様々な価値観や考え方があることを念頭に置き、属人的ではない情報の発信が必要なのではないでしょうか。多様性を持ったチームで事例をキャッチアップし、シェアすることで、多様な価値観が共有でき、企業価値向上にも繋がります。 世の中に伝えたいメッセージや背景、そのプロモーションにどれだけの想いがあるのかを企業として説明することは、コミュニケーションにおいて必要なことです。企業、代理店が一枚岩のチームとなって、炎上に対してスピーディーに対応できる組織であることが今後も重要だと言えます。

 

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