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SDGs活動のPR戦略とは?最新成功事例から学ぶ話題づくりのポイント

公開日:2019年6月25日   カテゴリ:

近年注目を集めている「SDGs」。「広報会議」の調査(※1)によると、「SDGsに関心がありますか?」という問いに対して、「関心がある」と答えた方は62.9%。広報・PR担当者の関心の高さがうかがえます。


しかしその反面、「活動をしていてもなかなかメディアに取り上げられない」「そもそもSDGs活動をどのようにPRすればよいかわからない」というお悩みをよくうかがいます。今回はそんなお悩みを持つ広報・PR担当者の方に向け、2019年5月22日に開催したセミナー「メディアが注目する社会問題とは?toC企業のコーポレート・コミュニケーションをステークホルダーへ届けるためのポイント」より、厳選した情報をお届けします。元毎日新聞記者・小島様が企業のSDGs活動でアドバイザーを務める中で感じたことなど、貴重なご意見も満載です!


(※1)広報会議編集部「企業の広報・PR活動に関する調査2019」,『広報会議』2019年2月号, p.24,株式会社宣伝会議


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■目次

・登壇者紹介
・CSR、CSV、SDGs―3つの違いは?
・SDGs活動を成功させる5つのポイントとは
・注目企業の本業を生かしたSDGs活動事例
・SDGs活動をステークホルダーに届けるためのPRとは
・メディア掲載、生活者への情報伝播に重要なこと
・まとめ

■登壇者紹介

▽小島 正美(こじま・まさみ)様
食生活ジャーナリストの会 代表

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1951年愛知県犬山市生まれ。愛知県立大学卒業後、毎日新聞入社。松本支局などを経て、東京本社・生活報道部で主に食の安全、健康・医療問題を担当。生活報道部編集委員として約20年間、記事を書いた後の2018年6月末で退社。東京理科大学の非常勤講師も務める。『メディアを読み解く力』『誤解だらけの放射能ニュース』など、著書多数。


▽長沢 美香(ながさわ・みか)
ビルコム株式会社 第2プロデュース局 局長

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■CSR、CSV、SDGs―3つの違いは?

まずはSDGsと並んでよく語られるCSRとCSVについて、改めて3つの用語の意味と違いをご紹介しました。


<CSR>企業の社会的貢献

寄付や慈善事業など社会貢献の一つだが、企業の本業とは関係ない考え方

<CSV>共有価値の創造

企業にとっての価値と社会にとっての価値を両立させ、企業の事業(本業)活動を通じて社会の課題を解決する考え方

<SDGs>17つの持続可能な開発目標

持続可能な開発を目指す国際的なガイドラインのツール


それぞれの用語には違いがありますが、実は今SDGsを実践している企業の多くは、CSVの考えを基本として活動を行っています。つまり、本業を生かし、その延長で社会課題の解決に取り組んでいるのです。


小島様(以下、敬称略)「企業が本業を生かしてできることは本当にたくさんあるんです。だから、私はSDGs達成に向けた取り組みを行うことは、そんなに難しいことではないと思っています。SDGsを意識していなくても、社会課題と自社の事業や活動を照らし合わせてみれば、自然とSDGsを意識できている取り組みになるはずです。」

SDGs達成に向けた活動を成功させる5つのポイントとは

続いて、小島様が社外アドバイザーを務めていたこともある伊藤園様の事例をもとに、企業がSDGs達成に向けた活動に取り組むうえで重要なポイントをご説明いただきました。


伊藤園様は2017年に、SDGs推進本部が主催した「平成29年度 ジャパンSDGsアワード(第1回)」(※2)において、特別賞である「SDGsパートナーシップ賞」を受賞しています。伊藤園様に代表されるSDGs活動成功のポイントとして、小島様は下記5点をあげられました。


▽SDGs活動を成功させる5つのポイント
1.CSVの考え方で社会の課題に挑戦し始める
2.中心となるリーダーがいる
3.社外の人の意見を聞きながら活動を進める
4.社外の識者にCSR活動を評価してもらう「外部評価」を実践する
5.社外の人の意見は自社ホームページに掲載


小島「伊藤園様の場合は、CSR/SDGコンサルタントの笹谷秀光さんが中心となってSDGs達成に向けた活動を推進されていました。また、外部の意見を取り入れながら活動を行ったことが非常によかったのではないかと思います。自分たちだけで活動していても、本当に社会の役に立っているかどうかがわかりにくい部分もあるからです。また、社外の識者からのコメントを自社のホームページに掲載していました。その結果、『社外の方の意見も真摯に受け止めながら活動をしている』という姿勢を社会に示すことができています。」

▽事例:伊藤園が取り組んだSDGs活動

伊藤園様はSDGs達成に向けてさまざまな取り組みをされています。今回は一部を抜粋してご紹介しました。まずは、「茶産地育成事業」。これは、個々の茶農家の方々を対象に、「お~いお茶」などの製品に使用する茶葉を生産してもらう契約栽培(1970年代より開始)や、国内の耕作放棄地などを利用した大規模な茶園造成を行う新産地事業(2001年より開始)などを指します。


茶産地育成事業|伊藤園

https://www.itoen.co.jp/csr/cultivate/


小島「こちらは本業との繋がりが非常に強いので、SDGsを特に意識していなくてもできることです。しかし、結果的に茶産地育成という事業が地場産業の発展や若い方の雇用、過疎地の解消など、様々な面でSDGs達成のための活動につながっていったという事例でもあります。」


さらに、他社と連携した取り組みについてもご紹介いただきました。


小島「やはり、自社の事業だけだと限界があるんですね。伊藤園さんはお茶のプロではあるけど、防災に関しては本業ではない。そこで、日本赤十字社と2018年3月にパートナーシップ協定を締結しました。日本赤十字社の防災教育事業を支援するため、『伝承の健康茶』など飲料の売り上げの一部を寄付するというものです。このように、得意分野が異なる団体と協力することで、自社が得意ではない分野でも間接的にSDGsを実践することができます。」


<プレスリリース>伊藤園と日本赤十字社「パートナーシップ協定」締結

https://www.itoen.co.jp/news/detail/id=25094


また、自治体との連携により、メディアでニュースになる可能性を高めることができるそうです。


小島「もう一つ感心したのは、自治体との連携です。岸和田市で、伊藤園さんの製品である『ビタミン野菜」を岸和田市産業振興公社の公式飲料として販売しました。こんなことができるの?!と驚きました。自治体と連携すると何がいいかというと、記者の中で企業イメージがよくなるんですよね。"自治体がやっているならいいことなのだろうな"と記者も関心が高くなるわけです。」


<プレスリリース>岸和田市と「産業振興に関する連携協定」を締結

https://www.itoen.co.jp/news/detail/id=25246


長沢「最近の日経新聞などでも、SDGsに関しては"自治体がどんな活動に取り組んでいるのか"という観点の記事が多いですよね。」


小島「おそらく皆さんの企業も色々な活動をされているとは思うのですが、現実にはやることよりも報道されることの方が難しいですよね。活動をされている方は『なんで報道してくれないのだろう』と思うかもしれませんが、そのようなときは、自治体と連携をするなど他の団体と活動を推進すると、記者の関心を高めることができますよ。」


(※2)SDGs達成に資する優れた取組を行っている企業・団体等を,SDGs推進本部として表彰するもので、NGO・NPO、有識者、民間セクター、国際機関等の広範な関係者が集まるSDGs推進円卓会議構成員から成る選考委員会の意見を踏まえて決定される。

注目企業の本業を生かしたSDGs活動事例

その他にも、自社の本業を生かして社会の課題解決に取り組む企業の事例をもとに、メディア目線での注目ポイントを小島様に解説いただきました。


▽ネスレ日本:介護予防カフェ

「ネスカフェ」などの食品飲料で知られるネスレ日本は、世界が直面する健康課題である"人口の高齢化"に対する取り組みを開始しています。「介護予防カフェ」は、神戸市と連携して介護予防を推進する「こうべ 元気!いきいき!!プロジェクト」の中のひとつの取り組みです。

「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」を無償提供し、地域の高齢者が定期的に集まれるような場所を提供。時代に合ったテーマに対し、「つどいの場」づくりを本業のコーヒーを通じて応援しています。


▽ローソン:体験店舗の開設

ローソンは、自社の公式ホームページに「SDGsに対応する取り組み」というページを開設。自社の取り組みがSDGsのどの項目に当たるのかを一覧化しています。こうして一覧で見てみると、改めて本業を通じてSDGs達成のためにできることはたくさんあるということを実感することができます。


小島「ローソンさんで面白いな、と思ったのは仙台のスチューデントシティに体験店舗を提供した事例です。モノを売るという体験だけでどこまでできるのかな?と思っていたのですが、その体験が教育になっていますよね。子どもたちに接客やお金の精算など、店員が普段行っていることを勉強してもらうことで、経済の仕組みを学ぶ場の提供に繋がっている。こういうことでもSDGsの活動になるのです。」

▽SDGs活動の成功、話題化に不可欠なもの

小島「個人的な意見ですが、どの企業でも社会に貢献できる要素は持っていると思います。大事なのは、社員の意識だと思います。


例えば掃除の場合、単なる掃除ではなく、自分は地球の環境を守るために掃除をしているんだという意識を持つだけで結果が変わってくると言いますよね。伊藤園さんの活動に関わるなかで私が学んだのは、社長を含む社員全員が"SDGsを達成するんだ"という意識を持っていたからこそ、話題になる活動ができていたのではないか、ということです。一人ひとりが考えて行動することが非常に重要なので、まずは社内でワークショップを行い、自社ではどんなことができて、どんな社会課題を解決できるかを話し合ってもらうのがいいと思います。」

SDGs達成に向けた活動をステークホルダーに届けるためのPRとは

セミナーの後半ではビルコム・長沢より、SDGs達成の向けた活動をどのようなPRすればメディアに掲載され、生活者に情報として届けることができるのかをお話ししました。


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長沢「まず新聞の報道状況を見てみますと、2017年後半から"持続可能な開発目標"に関する報道が増えています。政府がSDGs推進本部を設置したり、経団連が企業行動憲章を改定したりなどです。このような国の動きがあると企業もそれに応じて制度を整えたり、新しく活動を始める場合が多いので、新聞でも報道が増える傾向にあります。」


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出典:日経テレコン 新聞トレンド(対象期間 2014年5月16日~5月15日)


▽メディアが求めるSDGs情報

長沢「私どもがメディアの方々と接する中でわかったのは、記者やディレクターはSDGs情報にかなり触れているので、基本的な情報だけでは掲載されづらいということです。逆に、経済的な動きと関連性があるものや既視感のないエッジの効いた取り組み、自治体との連携などの工夫があるものは、記事化が検討しやすいとおっしゃる方が多くいました。」

メディア掲載、生活者への情報伝播に重要なこと

長沢「PR会社の使命は、社会課題解決のために企業が真摯に行っている活動を世の中に広めていくことです。そこで、情報が伝播するために必要な要素を2つにまとめました。」


①ストーリー:生活者の感情が動く具体的なエピソード
②なぜ今要素:メディアが報道するきっかけとなる季節・時流要素


▽ストーリー:3つのポイントをおさえて生活者の心を動かす

長沢「まず1つめは、"ストーリー"です。例えば、先日話題になったすしざんまい様の事例をもとに考えてみます。」

【社会課題】

ソマリアでは海賊による被害が拡大。生活の糧を得るために海賊行為に手を染める人が多くいました。また、豊かな水産資源があるにも関わらず、漁の方法や加工、流通における技術や知見がないという課題もありました。

【行った主な活動】

・木村社長自らが現地に赴き、海賊や現地政府から実情を聞く

・現地の漁協を通じて漁民に漁業指導を行う

・日本の中古漁船を提供

【SDGsのアジェンダに当てはめると...】

1:貧困をなくそう

8:働きがいも 経済成長も

11:住み続けられるまちづくりを

16:平和と公正をすべての人に


長沢「この活動により漁業が発展し、結果的にすしざんまい・木村社長はソマリアの隣国であるジブチの政府から勲章をいただいています。非常に大きな話題となったのは、生活者を引きつける"ストーリー"があったからではないかと思います。では、ストーリーとは何なのか?ビルコムでは大事な要素を3つにまとめました。」


▽SDGs活動のストーリーを意識するうえで大事なこと

1:本業との接続性

本業とつながっている活動ほど納得感アップ

2:具体性・独自性

取り組みの背景やエピソードを具体的に語る。人の顔が見えるとよりgood!

3:個性あるリーダーの「想い」

ビジョンと紐づけて問題意識や企業としての想いを明確にする


長沢「まずは、"本業との接続性"。本業とつながりのある活動であればあるほど、生活者や記者の納得感は高くなります。次に、"具体性・独自性"。取り組みを行うに至った社会的背景や、きっかけとなったエピソードなどを具体的に提示できると独自性が出ますよね。また、どんな人が行っているかがわかるように、社長や社員の顔を出していくという方法もあります。そして、"個性のあるリーダーの想い"も重要です。ビジョンと紐づけ、企業としての問題意識や想いを明確にすると、他にはないストーリーを描くことができます。」


事例としてご紹介したすしざんまい様は、SDGsを意識してこのような活動を行っているわけではありません。しかし、活動内容を改めてSDGsのアジェンダに当てはめてみると合致するものが多いです。さらに上記3つのポイントをしっかりおさえているため、生活者の感情を動かすことができる具体的なエピソードであったことがわかります。

▽なぜ今:活動を発信するときは"時流"を意識する

長沢「リリースを書くなどして情報発信を行っているがなかなかニュースにならない、というお悩みを持たれている方もいらっしゃると思います。メディアは世の中で起こっていることを伝える使命がありますので、広告のような印象を持たれる情報は発信できません。メディアに取り上げられるためには、時流に乗った要素が必要です。"なぜ今要素"は戦略スケジュールの中にもしっかり記載し、PRやSNSの施策と連動した計画的な戦略をたてることをオススメします。」


ビルコムではSDGsと関連する時流要素をまとめたカレンダーをご用意して、お客様の戦略設計をご支援しています。「自社に合った時流要素を知りたい」「計画的な戦略を練っていきたい」という方はお気軽にご連絡ください。

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そして、小島様からは記者ならではの貴重なご意見もいただきました。


小島「SDGsの活動を世の中に広めていくのはとても大変なことですが、結局は人脈における部分も大きいんですよね。何か情報を発信したいときに、すぐに連絡をとれる記者が10名ほどいれば心強いです。


また、記者クラブに投げ込みをしたり、色々なジャンルの記者に向けてリリースを広く発信したりしてもいいのですが、自分で広報の活動をしてみると、もっといい方法があると思いました。それは、部署ごとにリリースを書き分けることです。新聞社には、経済部や文化部、生活部など様々な部署がありますよね。所属によって記者の考え方は全然違うため、経済部に情報提供して記事にならなくても、他の部署では同じリリースで記事になることが大いにあります。ですので、多少の労力はかかりますが、同じ新聞社でも部署ごとに内容を変えてリリースを出す方が効果的です。」

まとめ

SDGs活動やPRにおいて学ぶべき点は以下の3つです。


▼SDGsとそれに関する用語、取り組みへの基本・本質を学ぶ

SDGsへの取り組みは、持続可能な本業に関する内容であることが重要


▼社内でSDGsに関する取り組みを促進するためのポイントを学ぶ

・ワークショップを開催するなど、社内一丸となって継続的に取り組む

・自社の取り組みを改めてSDGsに当てはめてみることもgood!


▼SDGsをフックとして、メディアに取り上げられるためのポイントを学ぶ

メディアに取り上げられることはもちろん、SDGsという世界的な社会課題に向かって努力している企業、というブランディングで事業へ貢献することがゴール




ビルコムでは、SDGs活動をはじめとしたコーポレートブランディング・PRにおけるご支援を行っています。また、社内へPRの重要性を啓蒙するための無料出張セミナーも開催中です。お悩みやお困りごとがある方はお気軽にご連絡ください。


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