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  • 2019年10月04日
  • PRノウハウ

新市場を創造するPR戦略とは ― 【第一回】競争軸の転換編


競合他社と差別化をはかり、生活者から選ばれる商品・ブランドになるための手法として「新市場創造」が挙げられます。価格競争の激化など企業にとって負荷のある市場から抜け出し、生活者にとって有益な新しい価値を商品・ブランドに見出し、確立させていくのです。

このブログでは、ビルコムのプロデュース局で国内外大手クライアントの戦略的PRコンサルティングを担当する長沢が、3回にわたり新市場創造に必要なPR戦略を解説していきます。初回は「競争軸の転換」で市場創造に成功した、森永製菓の2事例を紐解きます。

 

 

    

 

森永製菓「ラムネ」:お菓子訴求→機能訴求で購買層を拡大

きっと皆さんも一度は目にしたことがある森永製菓のラムネ。サイダーの瓶を彷彿とさせる水色の容器に入ったお菓子は、子どものおやつの定番でもあります。近年、そんな森永ラムネの購買層が、子どもを持つ親からビジネスパーソンや学生にも拡大し、売上が大幅に増加しているといいます。

その始まりは、2014年頃。「森永ラムネで二日酔いがスッキリする」という口コミがソーシャルメディアで拡がり、ぶどう糖90%の成分が注目されるように。その後、マスメディアでぶどう糖に期待できる効果が取り上げられ、「眠気がなくなる」「頭がスッキリする」などの口コミが増加、ラムネブームに火がついたのです。

 

ポイント①:生活者の口コミや社会時流を即座に取り入れた

上記の口コミを受け、森永製菓は「ぶどう糖90%」が目立つ様にパッケージのデザインを変更します。生活者の声をもとにした地道な販促・PR活動を続けることで売上は順調に伸び、2018年には2012年の2倍の売上に。また、大人からの人気が高まっていることを受け、試行錯誤の末に開発した「大粒ラムネ」は、発売後3週間で売り切れる大ヒット商品となっています。

この背景には、働き方改革で効率よく仕事をすることが求められているなど、社会的時流も後押しする要因となったのではないかと考えられます。生活者や社会の動向をキャッチし、即座に商品のコミュニケーションに反映することで購買層を拡大、売上を増加させた好事例です。

 

ポイント②:健康機能をPRコミュニケーションで訴求

食品は医薬品ではないので、「〇〇に効果がある」などの機能を企業が直接発信することはできません。森永ラムネの場合は、アーンドメディアで管理栄養士が、タイアップで東京大学の学生がぶどう糖に期待できる効果を語るなど、第三者発信を上手く取り入れて健康機能の訴求に成功しています。

 

<参考:アーンドメディア>

新R25:「二日酔いに効く」「集中力が上がる」ブドウ糖90%の『森永ラムネ』効果の真偽は?(2018年1月16日)

https://r25.jp/article/502014206977335571

 

こちらの記事では管理栄養士を起用することで、企業が直接発信できないぶどう糖の機能訴求を補完しています。弊社でも専門家をKOLとして起用し、アーンドメディアのインタビューやオウンドメディアのコンテンツなど、SOEP(ソーシャル、アーンド、オウンド、ペイド)メディアを横断してファクトの信頼性を高める場合があります。

 

<参考:ペイドメディア>

東大新聞オンライン:東大生も愛用 ぶどう糖90%の意外なお菓子とは?(2018年10月5日)

http://www.todaishimbun.org/ramune20181005/

 

 こちらは学生や受験生をターゲットにしたタイアップ記事です。ターゲットの中で影響力のある東京大学と組むことで、情報波及の波を大きくさせることが期待できます。

 

(参考)
▽ダイヤモンドオンライン:懐かしの森永ラムネが大人や受験生に売れまくる理由
https://diamond.jp/articles/-/211002
▽リクナビNEXTジャーナル:なぜ大人向け「大粒ラムネ」は爆発的にヒットしたのか?「森永ラムネ」ブランドの挑戦 
https://next.rikunabi.com/journal/20181029_c02/
▽リクナビNEXTジャーナル:ぶどう糖90%「森永ラムネ」空前のブーム到来、ロングセラー商品のブランド戦略に迫る 
https://next.rikunabi.com/journal/20181026_c11/

 

 森永製菓「チョコミントシリーズ」:清涼感の訴求→ミントレベルの訴求で市場を牽引

清涼感のある独特の風味のため、好き嫌いが分かれやすい「チョコミント」。その需要がここ数年で拡大しています。チョコミントブームの発端となったのは、2017年8月8日に放送された「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)。案内人として登場した牛窪(うしくろ)真太郎さん(通称:うしくろくん)と、チョコミント嫌いのマツコ・デラックスさんとの対立構造もあり、爆発的な人気が出ました。

森永製菓はチョコミント味の菓子を複数発売しており、キャンペーンやソーシャルメディアでの発信を積極的に行うなど、市場の中でも一際存在感を放っています。

 

ポイント①:チョコミント初心者を取り込むコミュニケーション施策

チョコミントにはコアファンがついていますが、好き嫌いが分かれる味でもあります。これまでチョコミントを積極的に食べてこなかった層を取り込むために、森永製菓は“チョコミントレベル”を商品パッケージに記載。初心者はレベル1→2→3と段階を踏んで試せるようになっています。

また、チョコミント嫌いの社員・タケダさんのTwitterを運用し、チョコミント嫌いを克服できるようなアドバイスをユーザーから募集するキャンペーンも実施。チョコミント初心者のインサイトを施策に反映することで、購買層の拡大が期待できます。

 

 

ポイント②:チョコミント界のインフルエンサーを起用し、情報波及の波を増幅

森永製菓は、昨年から二年連続でチョコミント菓子の販促キャンペーンを行っています。そのメインキャラクターには「マツコの知らない世界」に出演した、うしくろくんを起用。いわゆる“草食系男子”な佇まいから、チョコミント好きのみならず女性からも支持を集めていました。森永製菓のプレスリリースによるとチョコミント菓子のターゲットは20-40代女性なので、ポイント①と同様に、これまでチョコミントに消極的だった層の興味喚起ができる人選だと考えられます。

また、SNSキャンペーンのハッシュタグには、チョコミント好きの間で使われていた「#チョコミン党」を使用。ビルコムではこれを「市場創造記号」と呼んでおり、SNSで拡がりやすいキャッチーで語感のいい言葉をコミュニケーションの軸に置くことで、言葉の拡がりとともに商品認知の拡大を狙う場合があります。今回のケースでは、チョコミントの好き嫌いにおける対立構造を上手く利用した市場創造記号を活用しています。

 

森永製菓株式会社:集え チョコミン党キャンペーン

https://www.morinaga.co.jp/chocomint/

 

 チョコミント市場の盛り上がりとともに、Webメディアで多数の記事が掲載され、ビジネス誌、マスメディアへと情報の波が拡がりました。その波はお菓子だけに留まらず、なんとメイクにもブームが波及。女性誌やまとめサイトでチョコミントカラーが多数取り上げられました。

 

(参考)

東洋経済オンライン:日本人は、なぜ「チョコミン党」になったのか(2018年8月22日)

https://toyokeizai.net/articles/-/234479

 

日テレNEWS24:チョコミント人気 ブームの理由は?(2018年7月4日)

http://www.news24.jp/articles/2018/07/04/07397660.html

 

ar:♯チョコミン党のおしゃれ大臣に立候補!夏っぽチョコミントメイク♡(2018年8月16日)

https://ar-mag.jp/makeup/47971/

 

 このような一連の情報波及の流れを戦略的に作ることを、ビルコムでは「シャンパンタワー型コミュニケーション」として、メソッド化しています。まずはホットセグメントと呼ばれる情報感度の高い層に情報を注ぎ、ソーシャルメディア、Webメディア、マスメディアへと情報を溢れさせていくという手法です。新しい市場を創っていく際はターゲットが情報に触れる順番を意識し、SOEPを統合的に活用することが必要です。

 

 

(参考)
▽森永製菓株式会社 プレスリリース:チョコミント大学生うしくろくんが監修!
初夏は清涼感のあるミントチョコでクールダウン♪(2019年5月10日)
https://www.morinaga.co.jp/public/newsrelease/web/fix/file5cd4c92cadae8.pdf
▽withnews:もう「歯磨き粉」呼ばわりはさせない! チョコミント味苦難の歴史(2019年7月9日)
https://withnews.jp/article/f0190709000qq000000000000000W0cm10901qq000019420A

 

まとめ

商品の売上を伸ばし、最終的にブランドの価値を向上させるためには、喫食機会や使用機会のポイントを増加させることが必要です。今回取り上げた事例は、どちらも社会的背景や生活者の声を施策の軸とし、新たなユーザー層を取り込むことに成功しています。自社視点ではなく、市場・社会・生活者の動向を日々キャッチし、隠れたインサイトを可視化する。それが新市場創造に繋がるのではないかと私は考えます。

 

著者プロフィール

ビルコム株式会社・長沢美香

 

SP業界からPR業界へ転身し20年以上に渡り企業のブランディング、マーケティングに従事。toCでは旭化成ホームプロダクツ、旭化成ホームズ、マツモトキヨシ、toBでは専門商社、人材関連企業等、大手企業を中心としたコンサルティングチームを統括。メディアが多様化するなかで、単なるメディア露出増加だけではなく、コーポレートブランディング、SOEPメディアを統合し、経営課題を解決するPRコミュニケーションを設計している。

 

    

 


 

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