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  • 2020年01月22日
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新市場を創造するPR戦略とは ― 【第三回】新カテゴリ創造編

ビルコムのプロデュース局で国内外大手クライアントの戦略的PRコンサルティングを担当する長沢が、3回にわたり新市場創造に必要なPR戦略を解説する連載。最終回のテーマは、「新カテゴリの創造」。“ファッションのサブスク”を確立したメチャカリ、“パーソナライズシャンプー”のサービスを日本で初めて展開したMEDULLAの事例を取り上げます。

 

※画像はイメージです

 

ストライプインターナショナル「メチャカリ」:“ファッションのサブスク”という新カテゴリを創造

ストライプインターナショナルが運営するファッションレンタルアプリ『メチャカリ』。月々定額で、同社が製造・販売する新品の洋服が借り放題というサービスです。会員の定着化、黒字化が難しいと言われるサブスクの中で、2018年度に単月の黒字化を達成。競合サービスを引き離し、順調に事業を成長させています。その背景にあるコミュニケーション戦略を見ていきましょう。

 

ポイント1:幅広いアーンドメディアに露出

メチャカリのメインターゲットは若年層ですが、ビジネスウーマンや子育てで忙しい母親にも使用されているそうです。ということは、これらの層が触れるメディアに露出することが必要で、メチャカリの場合はライフスタイル系やファッション系媒体で多数取り上げられています。

 

 

そして、上記のジャンル以外では、ビジネス系媒体においても掲載を獲得しています。サービスのメインターゲットは若年層ですが、親が「大学に進学した子どもの服飾費を抑えてあげたい」と契約することもあるそうです。このジャンルでの掲載は業界におけるプレゼンスを高めることにつながりますが、親世代にサービスの概要やメリットを伝えることも可能します。ターゲットとは直接関係のないようなメディアでも、実は重点媒体としてマークすべき場合もあるのです。

 

ポイント2:インフルエンサーの起用でユーザー数を拡大

サービス開始当初は、認知拡大のために大体的なマス広告を打ち出していました。今も欅坂48を起用した広告を目にする方は多いと思います。

 

 Color Bomb篇 30秒ver. - メチャカリ x 欅坂46 TVCM

 

しかし、コスメ系YouTuberが自発的にメチャカリを紹介したところ、ユーザー数が増加。その後、インフルエンサーを起用した施策にも力を入れ出します。

 

若年層はSNSから情報を得ることが多く、検索エンジンで「ググる」のではなく、SNSでハッシュタグを使用して「タグる」人が増えています。また、デジタル・ネイティブ世代の彼らは動画をスマートフォンで視聴することに慣れており、web動画も有効な手段と言えます。

 

ターゲットと親和性の高いメディアをアーンド、ソーシャル、ペイドなどメディア横断で選定し、施策を統合的に実行していくことは必要不可欠です。メチャカリはターゲットのインサイトを上手くとらえることができたからこそ、ユーザー数を拡大、定着につなげることができたのではないでしょうか。

 

<参考>

PRESIDENT online「月額5800円「洋服レンタル」にハマる人の正体」(2019年8月14日)

App Marketing Labo「服借り放題サービスは「服好きな人」につかわれない。借り放題アプリ「メチャカリ」意外なユーザーニーズと、長身モデルが「リアルじゃない」言われる話」(2017年6月12日)

 

Sparty「MEDULLA」:“パーソナライズシャンプー”という新カテゴリを創造

ユーザー一人ひとりの髪質や好みに合わせて、自分だけのオリジナルをつくってくれるパーソナライズシャンプー。ユニリーバや、「BOTANIST」で知られるアイエヌイーなど、複数の企業が業界に参入しています。これらの企業に先行し、日本で初めてこのジャンルに踏み出したのがSpartyです。2018年5月から「MEDULLA(メデュラ)」というブランドでパーソナライズシャンプーを展開しています。

 

ポイント1:多彩な切り口でアーンドメディアに露出を獲得

ユーザー数を増やすには、ターゲットが触れるライフスタイル系やファッション系媒体に露出することが望ましいです。しかし、創業間もないベンチャー企業は、なかなか露出機会をつくれない、ということが少なくありません。そのため、Spartyは社長が積極的にメディアに出演し、創業ストーリーを含めブランドの情緒的価値を伝えています。

 

 

今、生活者は商品の機能だけで購買の意思決定をしているわけではありません。社長の顔が見える会社か?社会にどう貢献しようしているのか?商品や企業の背景にあるビジョンや物語を知りたがっています。

このような背景からも、発信できる実績が少ないうちは、社長が会社の顔として積極的にメディア出演することが好ましいです。PRの目的とあまりにもかけ離れた露出になってしまうのは考えものですが、“素材を自ら作り出す”という意味で人物PRは非常に有効です。

Spartyはその他、イベント登壇などリアルな場も活用し、様々なかたちでアーンドメディアの露出を実現していることが特徴と言えます。

 

 

 

ポイント2:フラッグシップストアで顧客に体験を提供

Sparty は、2019年12月に有楽町マルイで期間限定のフラッグシップストアをオープンしました。

 

 

D2Cの販売形態だからこそ、リアルな体験の場を創出することはユーザーにプレミアム感を与え、ブランドへの好感度をさらに高めることにつながります。また、このような場は取材機会としても大変有効です。記者に体験機会を提供したり、インフルエンサーを招待しPR投稿してもらったりすることで、さらなる露出機会、潜在顧客への訴求機会にすることが可能です。また、ビルコムではこのようなイベントを記事型コンテンツにし、ネイティブ広告で配信することも多いです。1つのイベントをSOEPメディアに活用することで、情報は旧の波を大きくすることができます。

 

<参考>

Forbs JAPAN「トレンドでは終わらない。D2Cが示す新たなブランドビジネスの形」 (2019年8月27日)

日経クロストレンド「サブスクリプション成功の秘策は? 注目の4人が対談」(2019年10月16日)

 

まとめ

世の中に新しい価値を商品やサービスとして提供するのは、本当に素晴らしいことだと思います。その一方で、新しいからこそなかなか理解してもらえない、定着させることが難しい、というジレンマがあるのも事実です。新しい価値を世の中に浸透させていくことは確かに難しいです。しかし、生活者やユーザーに寄り添い、商品や企業の存在意義にしっかり向き合えば、糸口は必ず見つかるはずです。自社視点だけでなく、さまざまな視点で課題に向き合うことが、新市場創造の第一歩となるでしょう。

 

著者プロフィール

ビルコム株式会社・長沢美香

 

SP業界からPR業界へ転身し20年以上に渡り企業のブランディング、マーケティングに従事。toCでは旭化成ホームプロダクツ、旭化成ホームズ、マツモトキヨシ、toBでは専門商社、人材関連企業等、大手企業を中心としたコンサルティングチームを統括。メディアが多様化するなかで、単なるメディア露出増加だけではなく、コーポレートブランディング、SOEPメディアを統合し、経営課題を解決するPRコミュニケーションを設計している。

 

  


 

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