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  • 2019年09月09日
  • セミナーレポート

インナーブランディングのPR戦略とは?事例から読み解く施策とポイント

企業の魅力を正しく理解してもらい、自社への共感や愛着を高めるために必要不可欠な“ブランディング”。近年は、生活者や株主など外部のステークホルダー向けのブランディングだけでなく、自社の従業員に向けたインナーブランディングへの注目が高まっています。中でも最近よく聞かれるのは、社外広報としての活動を、インナーブランディングにも活かしていきたいという声。社内外広報を連携させ、社員や従業員の自社へのロイヤリティを更に高めたいというニーズが増加しています。

そこで今回は、8月22日に開催したビルコムのPRセミナー「インナーブランディングにも効く社外広報のPR戦略とは?」の内容を一部抜粋してお届けします。

 

       

 

目次

・今、企業が“インナーブランディング”に取り組むべき2つの理由

・社外広報の施策はインナーブランディングにも有効

・社外広報で意識すべきは“ブランド・パーパス”

・インナーブランディングを促進するPR戦略に必要な4つのステップ

・まとめ

 

登壇者

阿部珠恵

ビルコム株式会社 シニアコンサルタント

 

インテリジェンス(現パーソルキャリア)にて6年間社内外の広報を担当。その後、医療ベンチャーのメドレーで広報機能を立ち上げ、継続した露出獲得を実現する。現在はビルコムにて、toB、ヘルスケア、ベンチャー企業など幅広い企業のPR支援に従事。

 

今、企業が“インナーブランディング”に取り組むべき2つの理由

インナーブランディングのニーズが高まっている背景には、大きく分けて2つの要因が考えられます。

 

労働市場の変化

人材採用市場においては、少子高齢化や好景気による売り手市場が継続中。また、働き方や生き方が多様化している現代においては、転職はもはや当たり前の時代になりつつあります。このような中で、社員や従業員の定着率を向上させたり、優秀な人材を紹介・推薦してもらうリファラル採用を促進したりするために、インナーブランディングを役立てる企業が増えています。

 

情報市場の変化

ソーシャルメディアの普及に伴い、企業に対するネガティブな口コミや情報が瞬く間に拡散されるようになりました。情報発信者は生活者に限らず、社員や従業員である可能性も大いにあります。少し前に多くのメディアで取り上げられた“バイトテロ”も、従業員の軽率な行動が引き起こした騒動でした。このようなネガティブな発信のリスクを減らすために、企業への信頼・共感・愛着を醸成する施策が求められています。

 

社外広報の施策はインナーブランディングにも有効

インナーブランディング=社内報や社内イベント、というイメージを持つ方も多いと思います。しかし近年の生活者の在り方を考えると、社外に向けた発信が、インナーに効きやすい環境になりつつあります。

インターネットやSNSで沢山の情報に触れている現代の生活者は、広告的な一方的な発信を嫌い、口コミや第三者の評判といった客観的な情報をもとに、自身の判断を行うようになっています。

 

 

社内報や社内イベントなど従来の社内コミュニケーションの施策は、自社の方針や思いを確実に伝えるためには有効ですが、どちらかというと広告的なコミュニケーションになりがちです。

 

一方、社外広報では、メディアやSNSユーザーの客観的な評価とともに情報が伝えられます。実際、弊社のお客様から、こんな声もいただくことがあります。

 

・メディアへの掲載が増えたことで親の目に止まって、いい会社にいるねと言ってもらえた

・自社の社内報でのインタビューは後ろ向きだが、メディアの取材には前向きに出てもらえた。かつその後シェアしてくれて社員が多く読んでくれた。

 

社外広報で意識すべきはブランド・パーパス

インナーブランディングにも効果を上げることを目的とする場合、ただ掲載を獲得することが目的ではなく、「企業・経営者の想いやストーリーを伝える発信を増やす」ことを意識する必要があります。そこで重要なのが、“ブランド・パーパス(=自社の存在意義)”を意識した発信のプランニングです。

 

現在の社外広報では、マスメディアはもちろん、SNSやオウンドメディア等、さまざまなメディアを介して社外に情報を発信しています。マスメディアの記者や編集者の関心ごとと、社員や従業員がより身近に感じるソーシャルメディアでの関心ごとは少し異なるため、メディアによって語るストーリーは異なるでしょう。

 

こうした様々なストーリーを通じて、どんな自社の価値を伝えていきたいのかという発信の軸が「BRAND PURPOSE」です。

 

 

 こうして様々な切り口から、読み手(従業員)がBRAND PURPOSEを理解することで、自社への強い共感や信頼感を生み、ロイヤリティを向上させることが期待できます。

 

インナーブランディングを促進するPR戦略に必要な4つのステップ

通常の広報・PR活動と同じように、インナーブランディングを促進するための社外広報の戦略においても「現状分析」「戦略検討」「情報発信」「効果測定」と4つのステップで活動を実施していくことが必要です。

 

①現状分析

社員・従業員の視点で、自社の強みとなり「BRAND PURPOSE」を伝えるファクトを「人的資源」「物的資源」「組織資源」からあぶり出しましょう。自社の強み/弱みを知るために、競合分析を行うことも有効です。以下3つにマッチしているかを意識して探すことが、自社を表現するシンボリックなファクトに繋がります。

 

1.企業の強みを象徴している

2.企業の戦略方針に合致している

3.思わず人に話したくなる

 

②戦略検討

戦略を検討する際は、併せてKGIとKPIを明確化しておきましょう。特に、何が達成されたら、どういう状態がゴール=KGIなのか、関係者含めてしっかり確認しておく必要があります。ゴールに向けた中間目標であるKPIについては、幾つか例を挙げます。

<KGI>

検索ボリューム、従業員の満足度調査、Twitter口コミ数など

<KPI>

掲載件数、シェアオブボイス、重点媒体率、論調分析、口コミ内容分析など

 

戦略立案時のポイントは、以下の2つです。

 

1.社内外の情報発信における統一をはかる

社内広報では、インナーならではのメッセージを作りこむ場合もありますが、なんでもシェアされ広がっていくソーシャルメディア時代の今は“透明性”がカギとなります。一見、社内でしか話さないような事情を、社外に向けて発信していくことが、信頼感につながることも少なくありません。

 

【参考事例:株式会社メルカリ】

日経ビジネス メルカリ小泉社長「初任給を一律にしない理由」(2018年4月16日)

https://business.nikkei.com/atcl/report/16/090600161/041100043/

 

メルカリが初任給を一律にしない理由を、小泉社長自ら真摯に伝える記事。普段接する機会が限られる社長の想いを、質の高い媒体を通して届けることでオウンドコンテンツ(社内報やオウンドメディア)以上の効果を発揮します。

 

2.統合的なメディア活用

社内広報:社内報やイベント、社外広報:アーンドメディア、という考えは刷新しなければならない時代になっています。社内外どちらに向けた施策であっても、SOEPメディア(ソーシャルメディア、オウンドメディア、アーンドメディア、ペイドメディア)を戦略的に統合させることが重要です。

 

【参考事例:協和発酵キリン株式会社様(現:協和キリン株式会社様)】

当社でブランディングPRをご支援させていただいた事例で、業態認知を目的としたブランデッドエンタテインメントのコンテンツを制作しました。動画・ゲーミフィケーション・漫画コンテンツにより、一見難解な事業・業態をわかりやすく伝達しています。

 

協和発酵キリンのコーポレートブランデンィグ ― 企業姿勢をストーリーで伝える

https://www.bil.jp/case/details/8

 

協和発酵キリンのブランディング・コンテンツ ― 消費者の事業理解を促進

https://www.bil.jp/case/details/7

 

③情報発信

いよいよ情報発信をする段階では、メッセージの落とし込みにおいて2つのポイントが重要になります。

 

1.メディア視点でのメッセージ作り

ビルコムでは、メディアが取り上げたくなるニュースには下記7つの要素が必要だと考えています。自社が伝えたいメッセージばかりを盛り込むのではなく、メディア、そしてその先にいる読者や視聴者が求めている内容になるように心がけることが大切です。

 

 

2.PRメッセージの開発・発信

そして、①の現状分析(現状分析の先頭にリンク)で洗い出したシンボリックなファクトをストーリー化していきます。なぜストーリーなのか?理由は、人は固い話題でもストーリーがあれば興味関心を示しやすいからです。

 

例えば、テレビ朝日で放送された「おっさんずラブ」。おじさん同士のラブストーリーを描いたコメディドラマで、2016年に単発ドラマが放送。2018年には連続ドラマ化、2019年には映画化までされた大人気シリーズです。LGBTというテーマを「おっさんずラブ」というストーリーに乗せることで、従来から議論されていた範囲を超えて、各所のコラムやブログなどで話題化されました。

 

ドラマは少々極端な例ですが、ストーリーが受け入れられやすいという事実は、企業のPR活動でも変わりません。ファクトをそのまま提示するのではなく、起承転結のあるストーリーでその価値を伝えることを意識しましょう。

 

④効果測定

発信したメッセージは多面的な指標で効果測定をし、PDCAをまわすことが重要です。KGIと掲げている調査は年に一度、KPIは期間を決めて定期的に振り返りましょう。

その際にオススメしたいのが、競合他社の調査も実施することです。自社が目指している状態を実現している例もあり、PDCAをまわす際の参考になる場合があります。

 

まとめ 

市場の変化や生活スタイルの多様化により、自社の魅力を正しく社員・従業員に伝えるインナーブランディングの重要性は益々高まっていくことが予想されます。一方で、コミュニケーションの環境が変わりつつある現代においては、社内に向けた発信だけを強化するのでなく、社外広報を組み合わせることが有効になりつつあります。

さらに、社外広報においては、アーンドメディアだけでなく、SNS等の施策も統合的に行っていくことが求められています。そのため、従来の「掲載数・広告換算費」などの指標のみでなく、複数の指標から自社の現状をデータでしっかり把握し、戦略立案から実行、振り返りまで活かしていくこと非常に重要です。

 

ビルコムでは、独自の広報効果測定ツール「PR Analyzer(R)」を駆使して、過去のメディア・SNSデータを踏まえお客様の現状を分析し、経験豊富なコンサルタントがPR戦略をご提案。施策の実行から分析改善まで一気通貫のPR活動をご支援しています。PRに関するお悩みをお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

 

(書き手・ビルコム株式会社 高橋)

 

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